総合診療科
超音波検査の毛刈りについて
超音波検査の毛刈りについて
こんにちは。獣医師の勝山です。じめじめした梅雨が終わり、いよいよ本格的に暑い夏になってきました。
私は四季の中で夏が一番好きですが、動物にとってはこの季節は過ごしにくい季節なので、以前のブログにもあったように熱中症には注意が必要ですね。
今回は夏とは全く関係ないですが、超音波検査について少しお話ししたいと思います。
私たちがわんちゃんねこちゃんを検査でお預かりするときに、「毛刈りをしてもいいですか?」とご家族に確認させていただくことがあります。
何のためかは超音波検査に関係があります。
超音波検査は、主にお腹や胸の中の臓器をみる検査です。
超音波が出る機械を体にあてます。
そうすると、機械から出た超音波は体の内臓に当たります。内臓に当たった超音波は、反射して再び機械に返ってきます。
返ってきた超音波から画像がつくられ、私たちは内臓のかたちや内部構造をみることができます。
こんなふうに横になって検査をします
例えば腎臓だったらこんなかんじにうつります
超音波を当てるとき、皮膚にたくさんの毛が生えていると、毛が邪魔をして超音波が体にうまく通らず、臓器が見えにくくなります。
同じ腎臓をみています。毛が密に生えている動物だと非常にみにくくなります
そのため、より正確に検査を行うために毛刈りが必要なことが多いのです。
我が家のねこも超音波検査のとき毛を刈りました
お腹に毛がないとなんだか寂しい気もしますが、そんなに目立たないと思いませんか?
これにより正確な診断ができるので、是非ご協力をお願い致します。
ワンちゃんの歯周病と歯ブラシ
こんにちは、獣医師の徳山です。
本日はワンちゃんの歯周病と歯ブラシについてお話したいと思います。
老齢のワンちゃんのほとんどが歯周病を持っていると言われています。
その最大の理由は歯みがきをしていないことです。食べ物を食べたりするとその食べカスなどが歯に残って(歯垢といいます)細菌が付着します、そこに細菌がくっついて3〜5日ほどすると歯石になります。
歯石は軽石のようなもので表面は凸凹なのでまた歯垢が付きやすくなります。
これが繰り返されて歯石が大きくなっていき歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)の中にまで入っていくと、歯肉炎や歯周病が起きてしまいます。
歯周病がひどくなると歯槽膿漏のような状態になって歯がグラグラしてしまいます。
また、歯周病を放置すると鼻、眼、心臓、肝臓、腎臓に悪い影響を及ぼすことがあり、歯が悪くなるだけでなく全身的な健康状態を悪くすることがあります。
ワンちゃんの歯周病の一番の予防法は歯ブラシによる歯みがきです。
歯垢が歯石になる前に歯周ポケットも含めて歯ブラシでしっかり落としてあげることが大切です。
すでに歯石になっているものを落とすにはスケーリング(歯石落とし)が必要になり、ご自宅ではできない範囲になってきます。
また歯石をしっかり落としてあげるために麻酔が必要になってきますので獣医師にご相談ください。
今後、具体的な歯ブラシのやり方などをアップしていきたいと思っております。
下の写真は僕のワンちゃんが歯みがきしているところです。とてもお利口さんです!
うさぎには歯の病気が多いことご存知ですか?
こんにちは、獣医師の豊原です。
皆さんは何の動物を飼われていますか?
我が家では現在、犬とうさぎとインコが一緒に暮らしています。
当院は犬猫の患者さんが多いですが、うさぎの患者さんもいらっしゃいます。
そこで今日はうさぎの話をさせていただきます。
うさぎには歯の病気が多いことご存知ですか?
うさぎの歯は犬猫とは異なり、歯が一生伸び続けることが特徴です。
常に生え続ける歯と書いて「常生歯」といいます。
うさぎは草食動物なので野生では硬い草などを
奥歯ですりつぶして咀嚼し消化しています。
その際に歯も一緒にすり減るので、正常なうさぎでは
歯が伸びすぎてしまうことはありません。
飼育環境下でも適切な牧草などを与えていれば歯がすり減るので
歯が伸びすぎてしまうことは少ないです。
しかし柔らかいペレットや野菜ばかりを食べていると、
歯がうまくすり減らず歯が伸び過ぎてきてしまいます。
この状態を「不正咬合」といいます。
不正咬合になってしまうと歯が曲がった方向に伸び続けてしまい
曲がった歯が邪魔をして、食べ物をうまく食べられなくなったり
曲がった歯が口腔内に刺さってしまったりします。
このような状態になってしまったうさぎさんは
動物病院で定期的に歯のトリミングをしないといけなくなります。
一度不正咬合になってしまうと元に戻らないことが多いので
うさぎさんは普段から食事の内容に気を付けることが非常に大切です。
不正咬合の予防としては牧草をたくさん食べるようにして
ペレットを与えすぎないことが大切です。
採血について
こんにちは、動物看護師の渡部です。
今回は採血についてお話します。
血液検査するにあたって必要なのが採血です。
ですが、ワンちゃんや猫ちゃんは人間のようにじっとしていてくれるわけではありません。
そこで必要となってくるのが保定です。
動物看護師にとって保定は基本的な看護技術です。
そこで一般的な採血の保定法を紹介します。
外側伏在静脈(後ろ足の足首辺り)からの採血の場合
ワンちゃんは基本的にこの血管から採血します。
小型犬ではこのように抱っこした形で、膝が曲がらないようにしっかりと保定をします。
大型犬は台の上など大人しくできる場所で行います。
横に寝かせたり2人で保定をしたりする場合もあります。
橈側皮静脈(前足の前側辺り)からの採血の場合
この血管から採血することは少ないのですが、ワンちゃんも猫ちゃんも点滴を流す際にはこの血管を使用します。
ダックスなどの足の短い子たちはなかなか難しいのですが、肘を曲げないようにしっかりと保定をします。
大腿静脈(後ろ足の内股辺り)からの採血の場合
猫ちゃんは主にこの血管を使用します。
猫ちゃんは体が柔らかいので足を曲げたり、動かないようにしっかりと保定をします。
実際に採血しているところです。
毛をかき分けたところに青く浮き出ているのが血管です。
頸静脈(頸の前側に左右2本)からの採血の場合
ワンちゃんも猫ちゃんも使用する血管です。
紹介した中で1番太い血管なのでたくさん血が必要な時などに使用します。
以上の4種類の血管が採血の際によく使用する血管です。
保定法は使用する血管や、ワンちゃん、猫ちゃんの体格、そして性格によっても異なってきます。
大切なことは採血が安全に、スムーズに行えるようにすることです。
そのためには保定をする際にワンちゃんや猫ちゃんに声掛けも同時に行います。
優しく名前を呼んだり褒めてあげたり、まるで赤ちゃんをあやしているみたいです。
採血が終わった後もしっかり褒めてあげます。
採血されることが嫌いにならないように褒めることはすごく大切なことです。
ご家族の方も採血後はしっかりとたくさん褒めてあげてくださいね。
検査の基本
皆さま、明けましておめでとうございます。
獣医師の森田です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
前回、私が担当した回では検査について書かさせていただきましたが、今回は一番大事だと考えている検査について書きたいと思います。
それは、『問診と身体検査』です。
あえて専門用語で書きましたが、問診とは医師が患者に病状を尋ねることです。もちろん動物は話せないので、獣医療の場合ご家族にペットの病状を聞くことを指します。
身体検査は言葉の通りで、獣医師が動物の体に直接触れて異常がないか検査をすることで、まさに五感を使って行います。
これらの検査は特別な検査機器を必要とせず、獣医師は日々当たり前のように行っていることです。
しかし、動物の状態を直接確認し、問題点と疑われる病気をリストアップし、診断に必要な検査を考えていく上では非常に重要です。
しかも、動物に対する負担は他の検査に比べると少なくて済みます。
上記の検査を行うにあたって、獣医師には病気の知識・追加検査の目的・治療方針などについて熟知していることはもちろん、ご家族から正確に聞き出す会話力・動物出来るだけ怖がらせずに触らせてもらう優しさなどが必要になり、個人的にはとても奥が深いと感じています。
ご家族の側にとっては、何をどれくらい話していいのかわからないことも多いかと思います。
また、うろ覚えな状況もあるかもしれません。
どうか、ペットの異常について気になるところがあれば遠慮なく話してください。
不確かな情報でも構いません。
私は獣医師として病気の知識を集積するとともに、ご家族とのお話から必要な情報を引き出して行けるよう努力していきたいと思います。
(獣医師:森田)
老化はなぜおきるのでしょう
こんにちは。獣医師の平林です。
先月、第1回シニア教室が開かれました。
予想以上の大勢の方々にご参加いただき、改めて『老化』とは大きなテーマであること感じました。
老化とは、時間の経過とともに進行する体の衰えを示します。衰えは見かけや体の調子の変化としてみられますが、その変化はもとに戻すことはできません。
教室では老化に伴ってみられてくる症状についてお話ししました。ここでは、老化とはなぜ起きるのか、ミクロの世界のお話をしたいと思います。
私たちの体は、さまざまな種類の細胞からなり、無数の細胞が集まってつくられています。
細胞は寿命がくると消えてしまうのですが、多くの細胞は分裂することで新しい細胞に入れ変わり、体が保たれていきます。
それぞれの細胞の寿命はさまざまで、どんどん分裂をして新しい細胞に入れかわるものと、一生を分裂せずに過ごす細胞があります。
例として、皮膚や血液の細胞は分裂がとても活発です。皮膚にケガをしても数日のうちに良くなるのは、すぐに新しい細胞で補うことができるからです。
一方、神経や筋肉の細胞は生まれてから死ぬまで分裂をしないで過ごします。神経や筋肉がケガをしたときには、傷ついていない細胞が、傷ついた細胞の分まで頑張ることで働きが保たれます。
このように、ヒトや動物の体は保たれているのですが、それでも衰えてきてしまうのです。
その理由はいくつかあるようです。
細胞が分裂し、新しく入変わることのできる回数には限りがあること、細胞にいらないものがたまったり、傷ついたりしてうまく働けなくなってきてしまうことが主な理由です。
細胞が衰えてくると、脳や筋肉、内臓などの働きが悪くなり、いわゆる『老化』としてみえてくるのです。
老化は、私たちが生きていく中でおきる変化の積み重ねであり、避けることのできないものです。
生き物の種類により老化の早さは違い、わんちゃん、ねこちゃんはヒトの5-7倍の早さで進んでいきます。
少しでも長く、元気に過ごしてほしいものですが、起きてくる変化を、長く生きてくれた証として受け入れてつきあっていくことが大切です。
適切な栄養・体重管理、ストレスの少ない生活環境づくり、適度な運動や遊びは体によく、老化を遅くするといわれています。
これらはご家族や私たちのしてあげられることです。
細胞を守り、元気に長生きしてもらいましょう!
猫の尿路結石症
こんにちは。
獣医師の勝山です。
最近は寒くなってきたせいか、私が飼っている犬や猫たちが身を寄せ合って寝ていることが多くなりました。
毎年、この時期多くなる病気は、猫の尿路結石症です。
※うちのコたちです。左からまるさん(15歳)、くろさん(15歳)、音茶太(5歳)。
尿路結石症とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道の中に結石や結晶ができる病気です。
どんな症状が出るかというと、
- トイレに頻繁に行くのに尿が少ししか出ない・もしくは尿が全く出ない
- トイレでじっとしている
- 尿をするとき痛がってなく
- 血尿が出る
- トイレ以外のところで尿をする
などなどです。
中でも、特に要注意なのは、尿が全く出ない時です。尿道に結石や結晶が詰まってしまって出なくなっていることが多いのですが、これを放置していると、腎臓に負担がかかり、食欲がなくなったり嘔吐がみられたり、命に関わる状態になってしまいます。
この病気は性別に関係なくかかりますが、オスは尿道が細長く、ペニスの辺りでさらに細くなっているので結石が詰まってしまうことが多いです。
さて、なぜこの時期に多くなるのか、というと、冬場は寒いため、あまり水分をとらなくなるからです。水分の取る量が減ると、濃い尿が長い時間膀胱に溜まることになるので、結石ができやすい状態になります。というわけで、まずこの病気の予防としてできることは、常に水を飲みやすくしてあげることです。
例えば、
- よく猫が通る場所に数ヶ所水を置いてあげる
- 水分の多い缶詰などをあげてみる
- 水の器をかえてみる
- 常に新鮮な水を用意する
などです。
水の容器に関しては、一番猫が好む器は陶器だそうです。また、蛇口から出る水を好む猫には、循環式のサーバーがいいかもしれません(私も以前使っていましたが、お掃除がこまめに必要なので挫折しました。まめな方にはオススメです)。
その他は、トイレを常に清潔に保つことも重要です。猫はきれい好きなので、汚いトイレだと尿を我慢したりします。また、肥満も原因の一つといわれているので、体重管理も気をつけたほうがいいです。
みなさんの猫ちゃんはいかがですか?もし心配な点がありましたら、まず尿検査をするといいと思いますのでお気軽にご相談ください。
世界獣医麻酔会議に参加してきました
こんにちは、副院長の石川です。
9月の第1週は休みをとって京都で開催された世界獣医麻酔会議(WCVA;world congress of veterinary anaesthesiology)という学会に参加してきました。
この学会は3年に1回、世界のいろいろなところで開催され、各国の麻酔を専門とする獣医師が集まります。
今年はなんと日本での開催という当たり年で、私は麻酔を専門としているわけではありませんが、この機会を逃すまいと思い参加してきました。
せっかくですので麻酔というがどういうものかを少し説明しようかと思います。
麻酔は手術などの治療を行っていく上で非常に重要なもので、患者となる動物さんを①動かなくすること(不動化)、②眠らせること(鎮静)、③痛くしないこと(鎮痛)、を安全に行うことが目的です。
麻酔が必要になるのは主に手術を行うときです。
動物が動いてしまうと安全に手術ができないので、①の動かなくする(不動化)というのが必要になります。
でも動けない動物がそのまま手術を受けると、とても怖い記憶が残ってしまいますよね。
そのため、眠っている間に嫌なことは済ませてあげたいので、②の眠らせる(鎮静)ということも大事になります。
せっかく眠っても痛みがあれば起きてしまいますし、起きたとき強い痛みが残っているのではかわいそうです。
手術は少なからず痛みを伴う治療ですので、この痛みを最小限にするため、③の痛くしないこと(鎮痛)というのもとても重要なのです。
動物が安全に眠っている間に、痛みを感じさせずに手術を終えるのが理想的な治療です。そのために、麻酔の技術は日々研究され、進歩しているわけです。
さて、今回の学会の話に戻ります。
4日間の日程で行われたのですが、世界的な集まりなので当然ながらすべてが英語でした。
自分は英語を苦手としており、難しい内容を英語で聴かなければいけないということで、非常に集中力を消耗しました。
それでも、なかなか参加する機会のない学会に参加でき、良い刺激になりました。
欲をいえば、天気が良くて京都観光も合わせて楽しめたらよかったのですが、あいにくの雨続きであまり叶いませんでした。まあ、それはまた別の機会にとっておくことにします。
気温の変化にご用心
こんにちは。動物看護師の田辺です。
暑い日が続いたかと思えば急に雨が降ったりと、天候の変わりやすい時期ですが、いかがお過ごしでしょうか。
体調をくずされたりしていませんでしょうか?スタッフの間でも、「なんだか咳が出るなあ」「○○さん、風邪ですか?」なんて会話が聞こえたりもしています。
もうじき梅雨に入ると思うと、バイクで通勤している私には憂鬱です。
さて、気温の変化に気をつけなければいけないのはもちろん動物も同じです。
特にこれからはワンちゃんの苦手な暑い季節がやってきます。
すでに入院室やペットホテルのお部屋など冷房をつけて室温調節をしています。
見回りをしていると、寒かった時期に比べてお皿の水の減りが早いなと感じます。
お散歩に出してあげる時には地面が熱くなっていないか、よく注意しています。
アスファルトの上でしゃがんでみると、むわっとした熱気を感じます。
ワンちゃんの背が私たちのしゃがんだ高さと同じくらいだとすると、思っている以上に暑さを感じているのかもしれません。
おうちで留守番をさせる時、車に乗せてあげる時にも、今日は暑くなるかな?お水は足りているかな?と気にして見てあげてください。
夕暮れどきにテラスで涼むりゅうくん。
風が気持ちいいです。
こころのケアー
獣医師の福島です。5月です。ほんとに暖かくなってお散歩やひなたっぼっこが気持ちいい季節になってきました。
リラックスして寝ている姿、なんて平和なんでしょう。
私たちは動物たちのそんな姿に日々癒されています。
みんなでお昼寝(=^・^=)
幸せ~
犬の避妊手術・胃固定手術
こんにちは。獣医師の勝山です。
先日、一歳になるスタッフの愛犬、ゴールデンレトリバーの里芋(りいも)ちゃんの避妊手術を行いました。同時に“胃固定術”を行いました。
避妊手術はみなさんご存知かと思いますが、将来的に子宮や卵巣の病気を防いだり、望まない妊娠を防いだりする為に行います。
では、“胃固定術”は何の為に行うのでしょう?
実は、“胃捻転−胃拡張症候群”という病気を防ぐ為に行います。
胃捻転−胃拡張症候群とは...
急に胃がねじれて胃にガスがたまってしまうことで、命にかかわる怖い病気です。
どんな症状がでるかというと、
・食後に徐々にお腹がふくらんできた
・何回も吐こうとするけど何も吐く事ができない
・お腹が膨らんでぐったりしている
などです。
この病気の原因は不明とされていますが、大型犬で非常に多く、ごはんを一気に食べたり、ごはん直後の急激な運動をするとなりやすいといわれています。
治療には手術が必要ですが、残念ながら手術を行っても助けてあげられないケースもあります。
そのため当院では、この病気の予防として、大型犬の避妊手術や去勢手術などを行う際、胃固定術(胃がねじれないように胃と腹壁をくっつける手術)を行う事をお勧めしています。
手術前の里芋ちゃん.すごくリラックスしてます.
手術後の里芋ちゃん.まだ少しボーッとしてます.
胃固定術について興味がある方はお気軽にお尋ね下さい。
また、もしも上記のような胃捻転が疑われる症状がみられた場合にはすぐにご連絡下さい。
犬や猫の糖尿病
あけましておめでとうございます、獣医師の姉川です。
年末年始はいかが過ごされたでしょうか。
私はお正月に食べ過ぎて体重や血糖値が気になるところです。
ご自身の体重や血糖値を気にしている方は多いと思いますが、実は動物でも大事なことなんです。
肥満については先月のブログに書いてあるので、今回は血糖値と関係のある糖尿病について紹介しようと思います。
人間でも有名な糖尿病ですが、その名の通り血糖値が上がり過ぎておしっこに糖分が出てくる病気です。
血糖値を下げる働きのある「インスリン」という物質を作っている臓器である膵臓の異常や肥満、遺伝など色々な原因で起こります。
そして、どんな子でもなる可能性のある病気です。
糖尿病になることで感染しやすくなったり、眼や腎臓に異常が出たり、病気の進行により昏睡状態になってしまうこともありますので、早めの診断・治療が大切です。
・・・と、怖い病気でもある糖尿病ですが、治療により多くの子が元気に生活することができます。
病院で糖尿病と診断された場合は、インスリンを注射して血糖値を下げてあげることで糖尿病をコントロールしていきます。
また、女の子の場合は避妊手術をしてホルモンの影響を減らしてあげればコントロールしやすくなることもあります。
糖尿病の子は水を飲む量やおしっこの量が目に見えて増えますので、ご家族で気づかれる方もいるのではと思います。
おうちのわんちゃんねこちゃんで思い当たることがありましたら、いつでも相談にいらしてください。
犬や猫の肥満について
こんにちは、獣医師の下田です。
寒い季節になりました。
犬の散歩もなかなか気が進まない気温が続いています。
こんな季節なので、今回は肥満について少し考えてみましょう。
そもそもなぜ太ってはいけないか?それは太る(または太るような食生活を送る)ことによって病気になる可能性を高めることもあるからです。
例えば、
・短頭種とよばれる鼻の短い犬種(フレンチブルドックやパグなど)は太ると、呼吸困難になるリスクが上がります。
・太っている猫ちゃんが急にご飯を食べなくなると、肝臓の病気になってしまう可能性が高くなります。
・太ってしまう様な食生活を続けることで肝臓などの内臓に影響を与えたりします
・いざ緊急手術を行わなければいけない状態になった時、標準体型の子よりも麻酔の危険性が高くなってしまうこともあります。
このような可能性を考えて日頃から体重管理を気にしてあげるのはとても大切です。
そのためには適度な運動、適切な量の食事を心がけましょう。
自分のわんちゃん、猫ちゃんが適切な体型にあるのかどうかということが分からない場合は一度病院で獣医師に健康診断してもらうことをお勧めします。
獣医師はその犬種の体重・触った感触(肉付き)などから体型をスコアで表し体重だけでなく適切に評価する様に心がけています。
犬種によっても必要な運動量が大分違うので、今の体型は適切か?食事量や運動量はどうしたらいいのか?などの相談ができると思います。
12月も半分過ぎ、これからまだまだ寒くなります。わんちゃん、ねこちゃん、またそのご家族の健康を願っております。
猫ちゃんの尿道閉塞
こんにちは。獣医師の上嶋です。
最近すっかり寒くなりました。
今回は、寒い季節に増える、猫ちゃんの「尿道閉塞」についてお話しさせて頂きます。
「尿道閉塞」とは、結石や尿道栓子(炎症によって、膀胱や尿道から剥がれ落ちた細胞、血液、結石の成分などがかたまったもの)によって、おしっこの通り道である尿道がつまってしまう病気です。
尿道閉塞は、尿道が細くて長い男の子で多く起こります。
この病気の症状は、おしっこをしたくても出ないので、何度もトイレに行って、おしっこを出そうとふんばります。
ふんばりすぎて吐いてしまう猫ちゃんもいます。
おしっこが長時間出ないと腎臓に負担がかかり、腎不全になってしまったり、膀胱が破裂して命に関わることもあります。
おしっこが出にくそうだなと感じたら、なるべく早く動物病院を受診して下さい。
では、尿道閉塞を予防するにはどうしたらよいのでしょう。
おしっこが膀胱の中で長い時間とどまっていると、おしっこの中の結石の成分がかたまって、結石が出来やすくなります。
よって、お水をたくさん飲むこと、おしっこを我慢させないこと、結石の成分であるマグネシウムを摂取しすぎないことなどが大切となります。
また、猫ちゃんは、ストレスが原因となって膀胱炎になることが多いので、ストレスをかけないことも大切です。
寒くなると、お水を飲む量が減るため、ご飯にウェットフードを加えてあげたり、水飲み場を複数用意してあげたり工夫をしてあげるとよいでしょう。
蛇口から出るお水や、動くお水が好きな猫ちゃんもいます。
おしっこを我慢させないためには、快適なトイレを用意してあげます。
十分な広さのトイレを、猫ちゃんが安心できる場所に用意してあげましょう。
また、トイレの数は、猫ちゃんの頭数+1個が理想といわれています。
定期的に尿検査を行い、結石の成分が出ていないかチェックしてあげることも出来ます。
ご希望の場合には、なるべく新鮮なおしっこを、診療時間内にお持ちください。
猫ちゃんは泌尿器のトラブルが多い動物です。
普段から、猫ちゃんのおしっこの様子をよく観察してあげて、病気を早期発見してあげましょう。
ワンちゃん・ネコちゃんに多い"誤飲事故"
こんにちは、獣医師の森田です。
すっかり秋めいた天気になりましたね。日中は汗ばむことも多いですが、朝晩は冷えるようになりました。
さて、今回はペットのワンちゃん・ネコちゃんに多い“誤飲事故”についてご紹介したいと思います。
ワンちゃん・ネコちゃんが吐いている・元気が無いと言って病院に来院し、検査をすると胃や腸の中に食べてはいけない“モノ”が見つかることがあります。
診察の現場で遭遇することが多いのは、おもちゃ・梅干しの種やトウモロコシの芯・食品に同封されている脱酸素剤・意外なところで靴下等でしょうか。ネコちゃんだとネズミのおもちゃや紐などが多いです。
治療方法にはいくつか種類があり、
- 吐かせる
- 胃カメラ
- 手術で取り出す
のいずれかを状況に応じて選択します。
例えば、1、2の処置は腸にあるモノには行なえませんし、2、3については全身麻酔が必要です。腸に詰まってしまった時は3になります。
では、実際に当院で治療したワンちゃんの場合をご紹介したいと思います。
これはワンちゃんの仰向けのレントゲン写真です。
金属等の固いものは白く写るため、お腹の中にチェーンのようなモノが写っているのが分かると思います。このワンちゃんは胃カメラで胃の中にあるチェーンを無事取り出すことができました。
続いてのワンちゃんです。
この写真でも食べてはいけないモノが写っているのですが、皆さんお分かりでしょうか?最初のワンちゃんよりも少し分かりづらいと思いますが、よく探してみてください。
丸で囲った所にやや白い影が見えると思います。手術をしたところ腸におもちゃが引っかかってしまっていました。
誤飲事故を防ぐ確実な予防方法は無く、ご家族が注意してあげることが一番重要です。
もし、ワンちゃんが何かを飲み込んでしまった、あるいは飲み込んだかもしれない場合は、様子を見ずに病院に相談してください。来院が早かった場合は治療が軽く済む場合もあります。
食欲の秋ですが、私も食べ過ぎて蓄え(脂肪)を増やさないようにしたいと思います
歯のこと。
獣医師の福島です。みなさん、歯みがきしてますか?
私たちは日頃から何の気なしに歯みがきをしています。
健康のため、美容のため、80歳になっても自分の歯でおいしいものを食べるため…
私たちが愛してやまないペットたちはどうでしょう。
最近の報告では、3歳以上のワンちゃんやネコちゃんの80%が歯周病にかかっているといわれています。
実際、診察していてもお口の中にトラブルを抱えている場合が多々あります。
先日行われた獣医学フォーラム(獣医師、動物の看護師など動物関係者のセミナー)では、様々な分野の専門医による講演がありました。
歯科を専門とする獣医師の講演では歯周病についていろいろお話しして頂きました。
中でも飼主さんにお伝えしたいこととして早期治療の大切さ、歯みがきでの予防のことをお話ししていました。
早期治療が必要なのは、他の病気と一緒でひどくなってからでは治療が難しくなってしまうからです。
歯肉炎、歯石がつくだけではなく、出血したり、膿をもったり歯が抜けてしまったり。すごくひどくなるとあごの骨が溶けて折れることもあります。
また、体の深部にも病原菌が入り込むことがあり心臓病や腎臓病になることも知られています。
このような状態にならない為にも早やめのケアーが必要です。
デンタルケア製品はたくさんのものが出回っていますが、一番効果があるのは歯ブラシによるブラッシング。
歯周病予防にはヒトと一緒で歯周ポッケトのお掃除が大切なのです。
表面ばかり磨いていても歯石はついてしまうそうです。歯ブラシでの歯みがきは何となく敷居が高く感じられるかもしれません。
でも、やり方を間違えず、だんだん慣らしていくことでできるようになります。(ちょっと時間がかかるかもしれませんが…)
歯周病は誰でもかかる可能性がある病気です。でも予防することが出来るものです。
気になることがある、予防したいけれど何から初めていいか分からない、歯みがきにチャレンジしたい、性格的に大丈夫?などありましたらご相談下さい。
キレイで健康的な歯をめざし一緒に頑張りましょう。おいしいごはん食べさせてあげたいですよね。
チワワで注意したい病気
こんにちは。獣医師の勝山です。
私は14歳の猫2匹、4歳のチワワ1匹と一緒に暮らしています。
そこで、今日はチワワで注意したい病気についてお話ししたいと思います。
☆角膜潰瘍
『角膜』とは、目の表面の膜のことで、『潰瘍』とは、傷のことをいいます。チワワや鼻の短い犬種(バグ、ベキニーズ、シーズー、ボストンテリアなど)のように目が出ているわんちゃんは、目に傷ができやすい犬種です。
傷ができると、涙や目やにが出たり、目の充血、目が開けられない、などの症状が出てきます。
重度になると、角膜に穴が開いてしまう事がありますが、その場合は早急な処置が必要になりますので、もし上記のような症状に気付いたら早めの受診をお勧めします。
☆膝蓋骨脱臼
膝蓋骨とは、膝のお皿のことをいいます。チワワのような小型犬(ポメラニアン、ヨークシャーテリア、トイプードルなど)は、膝蓋骨脱臼といって、膝のお皿がはずれる病気が起こりやすい犬種です。
外傷が原因のこともありますが、生まれつきもっていることが多いです。
膝のお皿が外れると、関節を痛めてしまったり、うまく足が伸ばせなくなったり、重度になると歩けなくなってしまうこともあります。
痛みが出ると、足を挙げて歩いたり、スキップするような歩き方になったりします。
しかし、常に症状がみられるとは限らないため、治ったと勘違いし様子をみてしまうことがあります。様子をみているうちに病気自体は進行してしまいます。
基本的には早期の手術が必要になります。
☆僧帽弁閉鎖不全症
心臓は4つのお部屋に分かれていますが、そのお部屋を区切っている扉の事を、弁といいます。
僧帽弁は、いくつかある弁のうちの一つです。
チワワなどの小型犬は、高齢になってくるとこの僧帽弁というところに異常が出て、血液の流れが悪くなってしまう僧帽弁閉鎖不全症になりやすいといわれています。
初期の症状は、咳がでたり、疲れやすくなったりします。重度になると呼吸困難を起こしたり、失神してしまうこともあります。
この病気は、聴診で発見することができますので、日頃から病院で健康チェックをするといいでしょう。
☆水頭症
水頭症とは、脳の中の脳室といわれるお水がたまっているところに、過剰なお水がたまってしまう病気です。
チワワの場合はうまれつきにもっていることがあります。
ボーッとしていたり、ふらつきがみられたり、目が見えなくなったり、けいれんを起こしたり、など様々な症状がありますが、水頭症があっても症状がみられないこともあります。
・・・などなど、色々な病気が挙げられます。
実はうちのチワワさんは水頭症をもっています。けいれん発作を起こす事があるため、けいれんを抑えるお薬を毎日飲んでいます。発作を起こすこと以外はとても元気なので、少し運動神経が悪いところは、この病気のせいではなく、私に似たのでは?と思っています。
けいれんを起こすと心配なので、いつも私と一緒に病院に出勤しています。入院室の一番上の犬舎にいますが、大きな犬をみたりすると吠えてしまいます。ご面会にいらしている方、うるさかったらごめんなさい。
犬舎では、かまってほしそうに上からみんなをみています
当院では、これらの病気を診てくれる、眼科、整形外科、循環器科、神経科の頼もしい先生方がいます。
もし、上記のような症状がみられる場合は、ご相談下さい。
判断がつかない場合はまず総合診療科へお越し下さい。
犬も熱中症にご用心
こんにちは、副院長の石川です。
関東でも梅雨入りし、どんよりした天気が続いていますね。
気温もずいぶんと上がってきて、夏が近づいてきたって感じがします。
自分は寒いのが苦手なので夏のほうが好きなのですが、あんまりにも暑いのにはまいってしまいます。
インドで最高気温47.8℃を記録したというのがニュースになっていましたが、ちょっと想像もつかない気温ですね。
さて、今日は熱中症の話です。
人の熱中症は毎年ニュースにもなっていますが、亡くなるかたも依然多いようです。
人と同じように動物でも熱中症があるんです。
特に犬で多いので、ここでは犬の熱中症の話をしたいと思います。
熱中症をすごく簡単に言うと『暑さが原因で具合が悪くなってしまうこと』です。
では暑さだけがすべての原因かというと、それだけではありません。
水分不足、過剰な運動、過剰な興奮、年齢、持病の有無なども大きく関係してきます。
対処が遅れたり、重症化すると命の危険を伴うとても怖い病気です。
ですが、熱中症はほとんどの場合で予防が可能です。
その予防は誰にかかっているかというと、ほかでもない飼い主さんです。
飼い主さんが熱中症の危険性を十分に理解しておくことがとても重要なのです。
熱中症は『なりやすい犬の特徴』と『なりやすい状況』を理解しておくこと予防のポイントがよくわかります。
まず『熱中症になりやすい犬の特徴』を挙げてみます。
□鼻の短い犬種(パグやブルドッグなどのいわゆる短頭種)
□体格の大きい犬・太っている犬
□毛の量がとても多い犬
□子犬や老犬
□すぐに興奮する性格
□持病を持っている(特に心臓・呼吸器の病気、腎臓病、糖尿病など)
これらに当てはまる場合は、特に熱中症については気をつけてあげる必要があります。
次に『熱中症になりやすい状況』です。
- なりやすい時期がある
実は真夏の「暑い日が続くころ」よりも、初夏の「急に暑くなってきたころ」のほうが熱中症の発生は多いと言われています。これは体が暑さに慣れていないせいです。「まだ真夏じゃないから大丈夫」という安心はできません。GWが明けた頃から熱中症への注意は始まります。
- 暑い時間帯の散歩
夏のアスファルトはとても熱くなり、最高で60℃になることもあります。特に犬の体は人よりも地面に近いところにあるため、この影響を強くうけます。暑い季節の散歩は、できるだけ朝早くか夕方日が落ちてからに行くようにするといいでしょう。
- 家の中・車の中
密閉された家の中や車の中は温度が上がりやすいです。特に暑い時期の車の中はすぐに温度があがります。エアコンがついていなければ50℃以上に上がりますし、窓を開けていても40℃以上になります。「少しの間なら大丈夫」というのも危険です。5〜10分で警戒域の温度に上がりますので、暑い時期の「エアコン無しの車の中に置いて行く」ことは絶対にしないようにしましょう。部屋の中も同じように閉め切られていればとても暑くなりますので、必要に応じてエアコンを利用しましょう。
- ドッグラン
ドッグランは犬にとってとても楽しいところです。楽しくなれば運動量も多くなり、体も暑くなります。暑い時間は避け適度な休憩を入れながら、十分に水分をとらせてあげましょう。
- 水分不足
体の水分が不足(脱水状態)すると、体に熱がこもりやすくなります。暑い時期は特に水分をきらさないようにしましょう。人のように塩分は必要ないので、普通の水で大丈夫です。
いかがでしょうか?どういう時に熱中症になりやすいのか、すこしご理解できたでしょうか?
熱中症はすべての犬で注意しなければいけないことですが、特に『なりやすい犬』を『なりやすい状況』に置かないようにする注意が必要です。
もちろん、もし熱中症になってしまったら、とにかく早い治療が大事です。「暑かったかも」という状況で愛犬の具合が悪くなったら、すぐに動物病院へ連絡し、適切な治療ができるようにして下さい。
みんなで“熱中症ゼロ”を目指しましょう。