総合診療科
ストレスで膀胱炎!(猫の特発性膀胱炎について)
獣医師の福島です。
猫ちゃんを診察していて多い病気の一つに膀胱炎があります。
膀胱炎とは、膀胱が何らかの原因で炎症を起こして排尿の時に痛みがおこる病気です。
原因となるものはいろいろあります。
①結石
②細菌
③特発性
④その他(できものなど)
膀胱炎になると排尿の時に痛みを感じ、トイレで苦しそうにしている姿を目撃します。
【主な症状】
トイレに入ったり出たりを頻回に繰り返す
少量のオシッコを何度もする(頻尿)
血の混じったオシッコをする(血尿)
排尿時に痛みがあり鳴く
排尿姿勢はとっているが尿が出ていない
動物病院では尿検査や画像検査などを行って原因を特定し治療します。
結石やできものなどは検査をすれば原因がはっきりします。
しかし、炎症が起きているにもかかわらず具体的な原因がはっきりしないものについては特発性膀胱炎と呼ばれ、現在、猫の膀胱炎の半数以上が特発性と考えられています。
原因はまだわかっていませんがストレスが関連していると言われています。
【猫がストレスを感じる原因】
環境の変化(引越し、家族構成の変化など)
工事などの大きな音が聞こえる
同居猫との関係(新しい猫を飼い始めた、仲が悪いなど)
長時間の留守番
トイレの問題(トイレが気に入らない、汚れているなど)
そのほか猫ちゃんによってさまざまです。
また猫ちゃんの性格によっては、少しのことでもストレスに感じてしまうことがあるので注意が必要です。
治療は、症状に合わせてお薬を飲んだり、ストレスを軽減する成分が入った食事、サプリメントなどを併用していきます。
一番はストレスになっているものを取り除いてあげることですが取り除くのが難しかったり、何がストレスになっているのかわからなかったり、性格的にストレスを受けやすい場合は、症状が治っても繰り返す可能性があります。
食事療法を続けたりサプリメントを試したり、リラックスできる環境を整えて暮らしやすく工夫してあげましょう。
ストレスをとるというのはなかなか大変な作業です。
私たちも知らない間にストレスを受けています。私たちも猫ちゃんも一緒です。
ストレスを軽くして少しでも快適に楽しく暮らせるよう一緒に考えていきましょう。
快適にゃ
満足にゃ
フィラリア(犬糸状虫)症の予防について
こんにちは、獣医師の高井です。
少しずつ気温も上がり、夏が始まろうとしています。
暑くなると蚊が多くなってきますよね。蚊と言えばやはりフィラリア症ですよね?
というわけで少し強引ですが、今日はフィラリア(犬糸状虫)症の予防についての話をしたいと思います。
多くの方がご存知かもしれませんが、フィラリア症は糸状の虫が心臓に寄生する病気で、蚊が媒介します。
蚊の体内に寄生しているフィラリア幼虫が吸血時にワンちゃん(ネコちゃんもなりますが、まれ)に移行することで感染が成立します。
それを予防するためにフィラリア症予防薬を毎月飲んでいるのです。
なぜ毎月なのか疑問に思われたご家族の方も多いのではないでしょうか?
そのことについて少し解説したいと思います。
実は予防薬を飲んでいても、フィラリア幼虫が寄生している蚊に刺されたワンちゃんはフィラリア幼虫に感染してしまうのです。
幼虫の段階では、皮下に感染しているため、特に症状は出ません。
その幼虫を、フィラリア症予防薬を飲むことで毎月駆虫しているのです。
しかし、予防薬は幼虫の限られた発育段階でしか完全な効果を発揮できません。
その限られた発育段階を過ぎてしまった場合、幼虫は成虫になり、血管内へ移動、最終的に心臓へ移動し、フィラリア症が発症してしまいます。
そのため、一回でも予防薬を飲み忘れてしまうと幼虫が成長してしまい、予防薬が効かずにフィラリア症になってしまう可能性があるのです。
フィライリア症は治療が難しいこともありますが、発症していることに気づかずに予防薬を飲んでしまうとショック状態になり、命に関わることもある怖い病気です。
長くなってしまいましたが、大切なことは
①毎月きちんと予防薬を飲む(当院では、最低でも4月末から11月末までの投薬をお勧めしています。)
②もし忘れてしまった場合はきちんと獣医師に報告をする
です。
余談ではありますが、フィラリアは世界中で500種類以上存在しており、今回お話した犬糸状虫はその1種類です。
ごくまれではありますが、犬糸状虫が人に感染した例も報告されています。
ワンちゃんとご自身を守るためにもしっかり毎月必ず予防薬を飲みましょう!
犬の熱中症について
こんにちは、獣医師の杉村です。
最近、気温がぐんぐん上昇してきて、夏が近づいてきた感じがします。
都内では熱中症患者が増え始め、新型コロナウイルスのワクチン接種会場では予防対策が進んでいるようです。
今回は犬の熱中症についてお話ししたいと思います。
熱中症とは高温環境が原因で意識障害や多臓器不全など様々な症状を起こします。
極度に気温や湿度が高いと、自力でできる体温調節が間に合わず高体温となります。
暑さや湿度以外にも水分不足や過剰な運動や興奮、年齢や犬種なども大きく関わってきます。
重症化すると命の危険があるため、予防が大切です。
<熱中症になりやすい犬の特徴>
・短頭腫(パグやフレンチブルドッグなど鼻の短い子たち)
・肥満気味の子
・毛の量が多い子
・仔犬や老犬
・呼吸器疾患や心臓病など持病がある子
<熱中症になりやすい状況>
・暑い時間の散歩やドッグラン
運動すると体温がどうしても上がってしまいます。また、人間よりも地面(アスファルトなど)から近いので地面からの熱を受けやすいです。運動は涼しい時間帯にしましょう。
・家の中や車の中
閉めきった家の中や車の中は高温多湿になりやすく危険です。
必要に応じでエアコンをつけてあげて下さい。
また、車中に残して買い物に行くなどはやめましょう。
・水分不足
普通のお水で構いませんが、好きな時に飲めるようにしてあげて下さい。
ぜひご家族の皆様には熱中症のリスクを知っていただき、予防に努めて頂きたいと思います!
熱中症になってしまったら早期治療が大事です。
体温が高くぐったりしている、高温環境にいた後に嘔吐など消化器症状が出てきたなど、熱中症を疑う症状があれば、お早めにご連絡ください。
体の表面のできもの
こんにちは。
獣医師の渡邊です。
少しずつ暖かくなってきて、過ごしやすくなりましたね。
今回は、体の表面のできものに関して少しお話しします。
体の表面、つまり皮膚にできるできものですが、たまに飼い主様から『小さいから大丈夫ですよね?』ということを聞かれます。
結論からお伝えすると、小さい=大丈夫ということはありません。
もちろん、年齢、犬種、できものの場所などを考慮して、ある程度の良性、悪性の可能性はお伝えできます。
しかし、最終的にはできものに針をさして細胞を採取しないと、様子を見ていいものか、さらに踏み込んで検査すべきものかはわかりません。
特に、皮膚にできる悪性腫瘍の1つ、肥満細胞種は『偉大なる詐欺師』という異名を持っています。
その名前の所以は、見た目や触感での特徴になります。日によって大きかったり小さかったり、柔らかかったり硬かったり、赤かったり白かったり、様々な特徴をもちます。
これには、肥満細胞がもつ顆粒から分泌される物質が関与しており、この反応によって起こる症状には『ダリエ徴候』という名前がついています。
体表の腫瘍は早期発見により完治できるものもあります。もし、体にできものを見つけた場合には、ご相談ください。
動物の身近な中毒
こんにちは、獣医師の中嶋です。
2月に入り、一段と寒さが増してきましたね。2月のイベントといえばバレンタインデー!
毎年この時期になるとチョコレートをもらえるかドキドキしてきます。
皆様もバレンタインデーに向けてお家でお菓子作りをする機会も増えるのではないでしょうか?
甘くておいしいチョコレートですが、ワンちゃんや猫ちゃんが食べてしまうと中毒症状が出てしまいます。
チョコレート中毒や玉ネギ中毒は有名ですね、ご家庭にあるような食べ物で中毒を起こしてしまう食材が他にもあるので症状と共に少しご紹介しようと思います。
【チョコレート中毒】
チョコレートの中に含まれるテオブロミンという物質が原因で引き起こされます。
接種量にもよりますが、不整脈や意識障害を引き起こし、最悪の場合死に至ります。誤ってチョコレートを摂取してしまった場合は早期に嘔吐させることが有効といわれています。
【玉ねぎ中毒】
玉ねぎに含まれる成分によって、赤血球が破壊され貧血を引き起こします。
症状は貧血による、口腔内粘膜の蒼白、頻脈、呼吸が早くなる、血尿などがあります。玉ねぎ中毒も早期に嘔吐させることが有効といわれています。
【ブドウ・レーズン中毒】
ブドウやレーズンによる中毒は2000年になってから指摘されるようになった比較的新しい中毒のため、知らなかった方も多いのではないでしょうか?
ブドウ中毒の原因物質はまだ判明していませんが、ブドウを摂取した犬で下痢や嘔吐などの消化器症状や腎不全を引き起こすことがわかっています。
【キシリトール中毒】
キシリトールは砂糖のかわりに使われる人工甘味料です。誤って犬がキシリトールを摂取した場合、インスリンという血糖値を下げるホルモンが過剰に分泌され低血糖を引き起こしたり、肝障害を起こす可能性があります。
今回紹介した食材は、中毒を引き起こす物質の一部に過ぎません、手作り食を作る場合は、ワンちゃんや猫ちゃんに与えてもよいものかしっかりと確認したうえで作ってあげるようにしましょう。
犬、猫の咳
こんにちは。獣医師の上嶋です。
診察時に、「咳は出ますか?」と伺うと、「犬、猫も咳をするんですか?」「犬、猫の咳、ってどんなの?人と同じような感じ?」というお言葉をよく頂きます。
犬や猫も、人と同じように咳をします。原因となっている病気により、咳の仕方が少し異なります。
<犬の咳>
犬で咳が出る病気として代表的なものは、気管虚脱、気管支炎、心臓病です。気管虚脱では、「ガー、ガー」と、ガチョウの鳴き声様の咳が出るのが特徴です。
興奮した時や、首が圧迫された時に出やすくなります。咳が止まらなくなると、体温が上がり、気道粘膜が腫れてしまい、呼吸困難に陥ることもあり、その場合は緊急治療が必要となります。
重度の気管虚脱の場合には、手術が適応となることもあります。
一方、気管支炎や心臓病では、「コホ、コホ」という乾いた咳が出ます。最後に「ゲー」と痰を吐き出す様な仕草をすることもあります。動物は、痰が出ても、上手く吐き出せず、飲み込んでしまうことが多いです。痰の量が多いと、「ゴボ、ゴボ」という湿性の咳が出ます。
<猫の咳>
猫で咳が出る病気で最も多いのが、喘息です。頭を伸ばし、乾いた高い音の咳が出ます。
痰が多くなってくると、犬同様、「ゴボ、ゴボ」という湿性の咳になります。
人の喘息と同様、空気清浄や加湿が大切となります。環境整備をしても咳がひどい場合には、内服薬やネブライザー療法が必要となります。
ご自宅で咳をしていても、病院では咳が出ないこともよくあります。
咳の様子をスタッフが確認出来るよう、可能であれば、咳の様子を動画に撮って診察にいらっしゃって下さい。
動物の認知症について
こんにちは、獣医師の宮本です。
今回は動物の認知症について簡単にご説明したいと思います。
人で一般的に認知症は知られているように、認知症とは脳の老化に関連した様々な行動の変化がでる病気です。
症状は、日中の睡眠時間が長くなり夜間の活動が増えたり、排泄の失敗、無目的な徘徊、馴染みのある人や動物を認識できなくなったりと様々です。
犬では13歳以上、猫では14歳以上で約50%が認知症の症状を1つ以上認める可能性があるため、
年齢を重ねて変わった行動が出てきたら、それは認知症の症状かもしれません。しかし、高齢になると認知症以外にも様々な病気にかかる可能性があるため、気になる行動があれば獣医師に相談してみてください。
環境の改善、食事、サプリメント、薬物療法を用いて治療しますが、認知症は治る病気ではなく徐々に進行してしまいます。
そのためある程度の認知力の改善や進行を穏やかにし、日常生活に支障が出ない程度に症状を抑えることを目標に治療していきます。
症状が進行し、夜泣きによるご家族の不眠、近所迷惑、動物の理解しがたい行動により、ご家族が身体的・精神的に疲弊する可能性もあります。動物が生活しやすいように治療を考えていくことは大事なことですが、ご家族にも負担がかからないような治療方針を提案できたらと思います。ご家族側の不安や悩みも共有し、ベストな治療を考えていきましょう!
ワクチンアレルギー
獣医師の福島です。
今回は、毎年受けているワクチンについてお話します。
わんちゃんは狂犬病ワクチンと混合ワクチン(5種・8種など)
ねこちゃんは混合ワクチン(3種・5種など)があります。
病気に負けない免疫をつけるためのワクチンですが、ワクチン接種後にまれにアレルギー反応を起こすことがあります。
《20分以内におこる重篤なアレルギー反応》
非常に稀な反応ではありますが、これはアナフィラキシーシュックで体の力が抜けぐったりし、嘔吐や尿便の失禁などの症状が起こり、命に関わる場合もあります。
すぐに治療を行う必要がある危険なアレルギー反応です。
《数時間経ってからおこるアレルギー反応》
目の周りやマズル、口の周りがパンパンに腫れる顔面腫脹(ムーンフェイス)や注射をした部位が腫れたり痛みが出たりすることがあります。このような症状は半日経ってから出ることもあります。
ねこちゃんの場合、発熱したり元気がなくなるという症状が数日後におこることもあります。
《ねこちゃんでもう一つワクチンで気をつけたい事》
ワクチン接種部位にしこりができることがごく稀にあります。
炎症だけの場合もありますし、肉腫になってしまうこともあります。ワクチン後に気づいたことがあれば早めに受診してください。
《ワクチンアレルギーになってしまったら》
すぐに動物病院にご連絡ください。
早急な治療が必要です。アレルギーを抑える注射、重症の場合は点滴治療や気管挿管なども行います。
今後のワクチン接種は獣医師と相談して決めていきます。
ワクチンの種類を変更したり、ワクチンを打つ前にアレルギーを抑える注射を打ったり、ウイルスの抗体価を調べてワクチンを延期したりすることもあります。
《ワクチンを安全に受けていただくために》
体調が良い日にうつ
接種後は30分くらい病院内あるいは病院の近くで様子を見てもらう(すぐに対応できるように)
ワクチンはなるべく午前中に(夕方に接種した場合、夜間に症状が出る可能性があるため)
接種後はよく様子を見てもらう(よく見れる日に接種する)
接種後、1日はシャンプーや激しい運動は避ける
そして、何か気になることがあったらご連絡ください。
また、複数回ワクチンを受けていて今までアレルギーが出ていなくても、今後出る可能性もあります。
健康を守るためのワクチンです。安全に受けていただくために心に留めて頂ければと思います。
犬の歯について
こんにちは、獣医師の座古明奈です。
今回は犬の歯についてお話させて頂きます。
犬には上顎20本下顎22本の計42本の歯があります。猫は上顎16本下顎14本の計30本です。
犬は口の内のがアルカリ性のため虫歯になりにくいのですが、歯周病にはなり易いです。
歯周病は歯石の蓄積や細菌の増殖が原因で、歯茎の痛みや腫れ・出血・歯のぐらつきなどが起こる病気です。
歯周病を防ぐためには、歯石がつかないように歯磨きによるケアが重要です。特に、歯周ポケットまで歯ブラシでケアすることが必要です。
この部分は特に歯石が溜まりやすいです。
歯磨きを嫌がる子は多いですが、歯周病は口臭だけでなく病気の原因(鼻炎、下顎骨折など)になることもあるので、なるべく綺麗な状態に保ってあげましょう。
歯磨きの仕方など、わからないことがあればいつでも聞いてください。
グレインフリーの食事
こんにちは。獣医師の上嶋です。
最近注目されている、グレインフリーですが、ペットフードでも、グレインフリーと記載された食事をしばしば見かけるようになりました。
グレインフリー=穀物を使用していない食事であり、主に穀物にアレルギーを持つ動物や、穀物の消化が苦手な動物で有効とされています。
(ちなみに、似た言葉として、グルテンがありますが、グルテンは麦類に含まれるたんぱく質のことで、グレインフリーであれば、必然的にグルテンフリーということになります。)
しかし、2019年に、米食品医薬品局(FDA)から、グレインフリーのペットフードを食べている犬で、拡張型心筋症の発症が増えるという調査報告が発表されました。
拡張型心筋症とは、心臓の筋肉が薄くなり、動きが悪くなる病気で、本来はドーベルマンやボクサーなどの大型犬に多いとされていますが、近年、比較的小型の犬に拡張型心筋症が増えており、食事内容の調査を行ったところ、グレインフリーフードを食べている犬の割合が多いということが分かりました。
また、グレインフリーフードを食べていた拡張型心筋症の犬が、食事変更後に心筋症の改善が認められたとの報告もあります(Journal of Veterinary Cardiology 2019:21,1-9)。
ただし、グレインフリーと拡張型心筋症の因果関係は不明であり、グレインフリーが体質に合っている子もいるので、現在グレインフリーを食べている犬の食事変更が推奨されるわけではありません。
栄養は、心臓に限らず、動物の健康状態に密に関わっており、私たちも、ご家族からお話を伺う際、食事内容の確認はとても大切だと考えています。食事の内容を迷われている方は、お気軽に病院スタッフにご相談下さい。
子犬の咳
こんにちは、獣医師の渡邊です。
もう少しで4月、新生活を迎える方も多いと思いますが、今回は子犬の新生活で起こりやすいケンネルコフについて取り上げてみたいと思います。
ケンネルコフ(kennel cough = 犬舎での咳)は犬のパラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、Bordetella感染などにより発症する、呼吸器感染症です。
接触により感染は拡大するため、同居犬にも注意が必要となります。
主な症状は咳ですが、それ以外全く症状が認められないことも特徴です。
(ただし、重度の場合には肺炎を併発し、呼吸状態の悪化が認められることもあります)
治療は咳を抑えること、そして二次的な感染を防ぐための抗生剤治療になります。
適切な治療が行われれば、命に関わることはほとんどありません。
そんなケンネルコフですが、よくある発生状況として、ペットショップ→家庭などの環境変化によるストレスが挙げられます。
子犬を新しく迎える予定がある方は、是非とも頭の片隅に入れておいてください。
ただし、他の病気の可能性もあるため、自己判断はせず、動物病院を受診して頂ければと思います。
では、来年度もよろしくお願い致します!
発作のお話
最近は寒暖の差が激しいですね。みなさま体調を崩されていませんでしょうか?
寒暖の差と花粉症とも戦っている獣医師の皆川です。
立て続けに診察する機会がありましたので、発作のお話を、
1)発作ってどんな症状がでるの?
2)どんな病気で起きるの?
3)どんな検査するの?
4)もし起きたらどうしたらいいの?
の4つに分けてお話しします。
1)発作ってどんな症状がでるの?
**********
・泡を吹いて足をバタバタしてます!!おしっこもらしています!!
・バタバタは落ち着いたんですが、立ち上がれずにぐったりしています!!
・立てるようになりましたが、同じ方向にぐるぐる回っています!!目が見えてなさそうです!!
・ずっとバタバタが止まりません!!
**********
あくまで一例ですがこんなお電話をいただくことが多いです。
こんな内容を聞くと ”はやく発作を止めてあげないと…!”と気が引き締まります。
2)どんな病気で起きるの?
こんな状態になってしまう病気はたくさんあって
**********
①脳:てんかん、脳腫瘍、脳炎、脳出血、脳梗塞 …
②脳以外:低血糖、低カルシウム血症、門脈体循環シャント、腎不全、中毒 …
**********
などがあります。
3)どんな検査や治療するの?
身体検査、血液検査、MRI検査を行います。主に、
**********
・目の動きや体の向きなど見た目の異常がないか
(病気の場所がわかることがあります)
・肝臓、腎臓の機能や血糖値、カルシウム値に異常がないか
(②の病気は血液検査でわかることが多いです)
・脳自体に異常がないか
(①の病気の診断に役立ちます)
**********
といったことをみています。
診断したら病気そのものに対する治療や発作止めのお薬を始めます。
4)もし起きたらどうしたらいいの??
**********
・かかりつけの先生に電話して、どうしたらいいか聞く
・可能であれば発作を動画をとる(携帯やスマートフォンでOKです)
**********
をしてみてください。
動画は
・失神
・行動異常
などの発作に似た症状になる病気を見分けるのに役立ちます。
苦しがっている姿を撮影するのは心苦しいですが診断にとても役立つので、人手があれば撮影をお願いします。
今の挙げた発作は代表的なもので、ほかにも
・足がつっぱるだけ
・よだれが出たり、明らかな異常がないのにお腹が痛そう
・謎の行動をとる
・急に脱力する
など、まだまだいろんな種類の発作があります。
もし、気になる点がございましたら、スタッフまで教えてください。
よろしくお願いします。
皆川
動物とヒトの感染症
こんにちは、獣医師の中嶋です。
コロナウイルスが世界的に感染拡大し、香港では、感染した女性が飼育していた犬からウイルスの陽性反応が出ました。
感染症の中には、ヒトから動物に感染したり、動物からヒトに感染する病気があります。
この感染症をzoonosis(人獣共通感染症)と呼びます。
今のところ新型コロナウイルスが犬や猫からヒトに感染した例はありませんが、もちろん犬からヒトへ感染したり、猫からヒトに感染する病気もあります。
そこで、ご家庭で実践できる感染予防法を紹介したいと思います。
・動物と触れ合ったらしっかり手を洗いましょう
手洗いは感染症予防の基本になります。手に病原体が付着したままご飯を食べたり、目をこすったりすることで感染が成立します。
・過度の接触を控えましょう。
感染症の多くが口から体内に入ります。愛犬・愛猫とキスをしたり、同じ食器でご飯をあげるのは控えましょう。
動物たちは良きパートナーであり、感染症について過剰に恐れる必要はありません。
適切な予防を実践しヒトと動物の健康を守りましょう!!
猫の排尿異常について
こんにちは、獣医師の杉野です。
だんだんと寒くなってきましたね。
寒くなってくると、排尿異常で病院にいらっしゃる猫さんが急増します。
頻繁にトイレに行く、血尿が出る、尿が少しずつしか出ない、トイレに長い時間座っているのに排尿していない、などなど・・・
こういった症状は膀胱炎や尿石症のサインかもしれません。
猫さんは基本的に暖かいところが好きな動物なので、寒いと動くのが億劫になりトイレや水を飲みに行く回数が減ってしまいます。
そして気温が下がることで飲水量が少なくなると、尿が濃縮します。
さらにトイレを我慢してしまうので濃縮された尿が膀胱内に溜まっている時間が長くなってしまうので、膀胱炎や尿石症を発症しやすくなります。
こういった事態を防ぐためにお家で簡単にできる工夫をいくつかご紹介します。
・部屋の温度を常に暖かくしておく
・水飲み場をいくつか設置する
・水をぬるま湯にする
・ドライフードをふやかしたり、ウェットフードに変更する
・トイレをきれいに保つ
・トイレの数を増やす
しかしどれだけ気をつけていても、猫さんは体質的に尿路系の病気になりやすいので、頻尿や血尿の他にも「いつもとおしっこの様子が違うな」と思ったらなるべく早くご来院くださいね。
猫の中毒
獣医師の福島です。
お花屋さんの前を通るたびにいつも思うことがあります。
こんなに綺麗なのに猫ちゃんにとっては危険なものもあって、注意して飾らないと、と。
今回は猫ちゃんが食べることで中毒を起こしやすい植物についてお話ししたいと思います。
中でも、家の中やベランダに置くことが多いものをピックアップしてみようと思います。
ポトス(観葉植物)
トマト
アサガオ
スイセン
ユリ、スズラン、チューリップ(ユリ科)
観葉植物はかなりの確率で中毒を起すものが多いので絶対に猫ちゃんの届く場所に置かないようにしましょう。
どうしても置きたい場合は猫ちゃんに毒性がないか調べてからにしましょう。
トマトはベランダやお庭で作っている方も多いと思います。
グリーンの実、葉や茎などに毒性があるので、猫ちゃんに触られないよう注意して下さい。
お花は私達を楽しませてくれますが猫ちゃんには危険なものも多いです。
特にアサガオ、スイセン、チューリップはお家の花壇で育てている方もいると思います。
また、ユリ、スズラン、チューリップはお家に飾ったりプレゼントとしてもらったりすることもあると思います。
猫ちゃんが近づけないところに飾って下さいね。
猫ちゃんは、肉食動物の食生活に合うように進化したため肝臓の働きが人やわんちゃんとは異なります。
そのため、植物中の成分が蓄積しやすく、体も小さいため中毒になりやすいのです。
ご紹介した以外にもまだまだたくさんあります。興味のある方は調べてみて下さいね。
(仲良く寝てます)
耳の炎症が原因で起きる、神経の症状について
こんにちは、獣医師の工藤です。
今回私は耳の炎症が原因で起きる、神経の症状についてお話します。
梅雨の時期から夏にかけては、耳のかゆみを訴えて病院に来るわんちゃんが多くいます。
また、耳垢が増えたり耳の中が臭うようになることもあります。耳の炎症である外耳炎は、耳の穴から鼓膜まで及ぶこともあり、放っておくと鼓膜の奥にある中耳まで炎症が広がってしまうことがあります(中耳炎)。
中耳炎が悪化すると、顔が悪い耳の方に傾いたり(斜頸といいます)、目が揺れたりという神経症状が起きてしまう場合があります。
また、耳の炎症によって顔面神経が麻痺してしまうと、顔の片方が動かせなくなって唇がたるんだり、うまく瞬きができないというような症状が起きます。
耳の症状から神経の麻痺が起きてしまうことは驚きかもしれませんが、耳の奥は外から見えないため気づかないうちに病状が進行しやすいのです。
特に、耳が垂れているコッカースパニエルや耳道が狭いフレンチブルドックなどは耳のトラブルが起きやすいことが知られています。
早めに治療を始めることで防いであげることができますので、気になる症状がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
皮膚病について
こんにちは、獣医師の宮本です。
夏が近づいてくると気温や湿度が上がり、皮膚のトラブルで来院されるわんちゃんが増えてきます。
実は皮膚病の診察では、季節や気候も大切な情報なのです。
そしてそれだけではなく、ご家族から伺う様々な情報が皮膚病の診察には欠かせません。
今回はそういった皮膚病の診療で大切な、ご家庭での情報についてのお話しをしたいと思います。
まずはワンちゃんのアトピー性皮膚炎という皮膚病を例にしてみます。
アトピー性皮膚炎はかゆみの強い皮膚病です。最初の痒みは若いころにみられることが多く、また花粉やダニなどがアトピーに関与していることが多いため、季節によってかゆみが悪化することがあります。
他にも、かゆみの部位やアトピーになりやすい犬種、などの特徴もあり、様々な情報を統合して診断を行います。
アトピー性皮膚炎に限らず、皮膚病の診察で教えていただきたいポイントを以下に挙げました。
皮膚のトラブルで来院される際に、整理をしておいていただけるととても助かります。
●痒みについて
・かゆみはいつ頃からありましたか?
・かゆみはどの部位からはじまりましたか?
・かゆみはどのように広がりましたか?
・かゆみがみられるようになったきっかけや、悪化するきっかけはありましたか?
(食事内容・シャンプー・生活環境の変化、薬やサプリメントの服用)
・かゆみの程度はどのくらいかですか?(たとえば、夜も眠れないくらい、など)
●食事
・現在とこれまでの食事(できれば製品名まで)はどういったものですか?
・おやつは与えていますか?(その種類も)
●生活の環境
・ふだんの生活は屋内か屋外か、どちらですか?
・散歩には行きますか?どういったところに行きますか?
●同居動物やご家族
・一緒に暮らしている動物に同じような皮膚のトラブルはありませんか?
・ご家族(ヒト)の中で皮膚の問題がある方はいませんか?
●予防
・ノミやダニの予防は適切に行っていますか?
・ワクチン接種を最近しましたか?
●皮膚以外の問題
・皮膚の問題が発生する前後で、体調(元気、食欲、飲水量、排便、排尿、呼吸など)に変化はありませんででしたか?
・皮膚の問題以外に病気はありませんか?
こららの情報を整理していただき、一緒にワンちゃんネコちゃんの痒みを解決していきましょう!
歯科ユニット機材の導入
こんにちは、獣医師の徳山です。
この春に新しく歯科ユニットという機材を病院に導入しました。
人間の歯医者さんのようにドリルや吸引機や超音波スケーラー(歯石除去機)などがひとまとめになったものです。
以前からあった機械よりもより早く安全に歯石落としや抜歯などを行うことができるようになり、麻酔の時間も短くできます(ワンちゃんネコちゃんの歯科の処置は麻酔が必要となります)。
ある程度高齢のワンちゃんネコちゃんは多くの場合、歯石や歯周病があると言われています。
当院の最新の歯科ユニットで歯科の処置を検討してみませんか?
診察時に獣医師までお問い合わせください。
獣医師 徳山智信
椎間板ヘルニア
こんにちは、獣医師の座古です。
今回は椎間板ヘルニアについてお話しさせていただきます。
椎間板ヘルニアは、ミニチュアダックスフンドやフレンチブルドッグ、トイプードルなどに多い病気です。
背骨と背骨の間には、クッションの役割をしてくれる椎間板という物質があります。この椎間板の中身が飛び出して、背骨の中を通っている脊髄という神経を圧迫することで椎間板ヘルニアは起こります。
後ろ足がフラフラよろける、抱っこした時にキャンと痛がる、などの症状が出ます。
万歳で抱き上げると腰に負担がかかることもあるので、
この様な抱っこではなく
体全体を優しく持ち上げるように抱っこしてあげてください。
食べさせてはいけないもの
こんにちは。看護師の加藤です。
今回は食べさせてはいけないものについてお話します。
みなさんはわんちゃんが食べてはいけないものを
知っていますか?
私達が普段食べている食べ物の中には、わんちゃんが食べてしまうと中毒を起こしてしまうものなどがあります。
*チョコレート
チョコレートに含まれる“テオブロミン”という成分に
毒性があります。
症状:中毒症状、嘔吐、下痢など
*ネギ類
症状:貧血、食欲不振、尿が赤いなど
*キシリトール
症状:低血糖、急性肝不全
*ぶどう、レーズン
症状:嘔吐、下痢、食欲不振、急性腎不全
代表的なものを挙げてみましたが、他にもマカダミアナッツやアボカドなどたくさんあります。
もし食べてしまった場合は、食べてしまったもの、どのくらいの量食べてしまったか、いつくらいに食べたかなど教えて頂けるとその後の指示や処置がスムーズに進みます。
食べてはいけないものを食べてしまうと中毒症状を引き起こすだけでなく摂取量によっては命を落とす危険性もあるので注意しましょう。
何かありましたらいつでもご連絡ください。