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心の病気

こころの病気

ワンちゃんや猫ちゃんも人間と同じように様々なことにストレスを感じています。
特に最近は核家族化が進みマンション暮らしで思うように動物本来の行動をとることが難しくなっていたり、一人暮らしでご家族さんが不在の間は退屈して過ごしていることが多くなってきています。

ストレスに継続的にさらされると様々なこころの病気になることがあります。
放っておくと症状がエスカレートし、症状が重いとお薬による治療が必要になってきます。
気になる症状がある場合にはお早目にご相談ください。
他の病気と一緒で早期治療が大切です。

最近増えている代表的なこころの病気をご紹介します。

分離不安

分離不安

動物が愛着を感じている対象から分離され、一人になると強い不安を感じ様々な問題行動を起こします。
通常はご家族の外出時の留守番やそのことが予測されたときに症状が現れます。
症状は、軽度なものから深刻なものまで様々です。
犬では多い問題ですが猫でも時々おこります。

症状

  • 落着きがなくなる
  • 吠える、吠え続ける
  • 不適切な場所での排泄
  • 家の中のものを壊す
  • 食事を食べない・下痢・嘔吐
  • 震える
  • 手足をなめる

普段からご家族のあとについて歩くワンちゃんは要注意です。
また、外出を阻止しようと攻撃的になることもあります。

不安傾向が強くなる原因

  • 留守番に馴れていない
  • ご家族のライフスタイルが変化し、今までよりも長時間の留守番が必要になった
  • ご家族が在宅時に強い愛情表現をすることで留守中と在宅時の違いが強調される
  • 動物が高齢

対処法

  • 外出時や帰宅時に声をすぐに掛けたり触ったりしない
  • 留守番の練習をする
  • 留守中に楽しく過ごせるよう工夫する
  • ご家族が在宅時でも、ワンちゃんや猫ちゃんが一人でいる時間を作る

分離不安にならないために留守番の練習や一人でも楽しく過ごせる工夫をしてあげることがとても大切になります。
しかし、既に症状がある場合それだけでは対処できないことがありますので、気になる症状があるようならご相談下さい。
 

常同障害

常同障害

不安障害のひとつで、ストレスがたまったり、どうしたらいいのかわからなくなった時、全く関係のない行動を繰り返したりします。
中には行動を何もしなくなることもあります。この行動自体には何の意味もありません。
繰り返し行動をすることでストレス解消をしているのです。
一時的ですぐに行動が改善されれば問題ないのですが、継続的なストレス状態にさらされているとこの行動がエスカレートして常同障害となります。
犬でも猫でもおこります。

症状

犬では

  • 尾を追いかけてぐるぐる回る(尾追い)
  • 足先をなめる
  • 穴を掘る
  • 歩きまわる
  • 光を追う動きをする

猫では

  • 尾追い
  • 過剰なグルーミング
  • タオルや毛布などに吸い付く

これらの症状が悪化すると、尾をうなりながら追いかけ回り続け自分で尾を咬みちぎってしまったり、足をなめすぎて赤く腫れあがり出血したりします(自傷行為)。

ストレスの原因

原因は様々ですが、退屈・不安・環境の変化・コミュニケーション不足・環境刺激の不足(ずっとケージに入れられているなど)などからおこることが知られています。

動物園のオリの中でうろうろ動き回っているライオンなどのネコ科の動物を見ることがあると思いますがこれがまさにそうです。
退屈で仕方ないのです。

対処法

ストレスの原因を探し、出来るだけ改善できるように工夫をしてあげましょう。
例えば、猫であれば隠れられるような箱を用意してあげたり、犬であれば退屈しないようにコング(穴におやつを詰め長時間犬が遊べるようにするおもちゃ)などを与えるのも良いと思います。
自傷行為のある動物にはそれに合った治療が必要になります。
また、咬まないようにエリザベスカラーを付けたりもします。
行動修正法や薬物療法が必要な場合もあります。

叱ると逆効果(症状が悪化する)になるので気を付けましょう。
また、他の病気が隠れている可能性があるので症状が気になるようであれば早めの診察をお勧めします。

恐怖症

恐怖症

雷や花火などの大きな音や動物病院やドライブなど特定の場所や状況に動物が過剰な恐怖反応を示すことを言います。
犬猫どちらにも恐怖症があります。
しかし、猫の場合、隠れるという行動をとることが多いため、ご家族さんが気づいていない場合もあります。

 

症状

  • 呼吸が粗くなる
  • そわそわする
  • 震える
  • 体が硬直する
  • 隠れる
  • 吠える
  • 破壊行動
  • 排泄

などがあげられます。
猫では大きな音に対して強い緊張状態になり攻撃的になる場合があります。

原因

社会化期(犬:3~12週齢・猫:2~7週齢)に十分な社会化(いろいろなものに慣らせること)が行われなかったり、ある刺激に対して強い恐怖経験を受けたりすることでおこります。
また、恐怖反応がおきている動物に対してご家族さんがなだめることで不安行動が強化されたり、叱ることで恐怖心が増していきます。
高齢になると不安傾向が高まります。

対処法

恐怖対象がわかればそれに慣らす練習をします。
症状が出ている時、なだめたり、叱ったりしないようにしましょう。
また、お薬が必要な場合もありますのでご相談ください。
 

猫の心因性脱毛症

猫の心因性脱毛

猫はストレスを受けるとストレス発散のためグルーミング(毛づくろい)を行います。
そして、持続的にストレスを受けると過剰なグルーミングをしはじめます。

過剰なグルーミングは被毛や皮膚を傷つけてしまうことがあり、特に猫の舌はザラザラしているので毛が抜けたり皮膚炎をおこしてしまいます。
猫がグルーミングしやすい場所であるお腹・後肢・内股・お尻・背中におこります。

原因

環境の変化がきっかけになることが多いです。
家族が増えたり減ったり、引越しをしたり・ペットホテルなどで別のところに預けられたり、家の中にいつもと違うものが置いてあったりと様々なことがきっかけになります。
また、ストレスを感じやすい素因を持っている品種もいます(シャム系・アビシニアンなど)。

対処法

落ち着ける場所(高所や隠れられる場所)を作ってあげることで改善されることもありますが、精神を落ち着かせる薬や行動治療が必要な場合もあります。

痒みを伴う皮膚炎として皮膚糸状菌症・毛包虫症・アトピー・ノミアレルギー性皮膚炎などもあるので過剰なグルーミングや脱毛を見かけたら診察を受けましょう。