心臓病科
心臓の手術を受ける患者様の手術部位について
こんにちは。心臓外科看護主任の髙橋です。
今回は、心臓の手術を受ける患者様の手術部位についてお話したいと思います。
手術を受けられる際に、どれくらいの傷口が出来るのか、剃毛の範囲等…なかなか想像しづらいですよね。通常入院の受け入れをさせて頂く際に私からご家族にご説明することが多いのですが、口頭でのご説明になってしまう為イメージして頂くのが難しいかな、と思い写真でご説明致します。
心臓の手術を受けて頂く際は、手術部位からの感染予防のために被毛を剃毛します。
剃毛範囲は衛生管理の為広範囲になります。
1. 左胸周囲・・・・心臓の手術をするメインとなる術創部+ドレーン設置のための術創部
2. 左頸周囲・・・・人工心肺装置に繋ぐカニュレーションのための術創部
3. 右内股周囲・・・手術中の血圧測定(中心静脈圧)や薬剤投与のための術創部
4. 両前肢(一部)・・静脈点滴留置の為
5. 左後肢(一部)・・静脈点滴留置の為
その他にも、手術中のモニターのため小さな剃毛個所は何か所かあります。
手術後は、毎日傷口の状態を確認します。傷口が不衛生な状態になっていないか、感染所見がないか等を観察しています。
手術後、手術を受けた動物は活動性が上がると傷口を気にするようになってきます。必要に応じて、エリザベスカラーと呼ばれる傷口保護のためのツールを使用して手術部位を保護します。
最近は、エリザベスウエアという手術部位を保護するための術後服もよく使用しています。
当院でも取り扱いがございますので、ご希望される方は気軽に病院スタッフへご相談ください。
また、事前にどの場所に傷口が出来るかご説明させて頂くことも多く、心臓の手術を受けられる方は事前に手作りのお洋服をご用意して来てくださる方もおります!
お気に入りのデザインで手術後の生活をちょっと楽しく工夫されるのも良いかもしれませんね。
過去に病院に持参された可愛いエリザベスカラーや術後服をご紹介致します。
可愛いハチさんタイプのエリザベスカラーや、ドーナッツ型タイプのエリザベスカラーです。
心臓の手術後は、お写真のような長袖やロンパースタイプのお洋服がお勧めです。
皆さん可愛くてとっても似合っていました♪
手術内容により、傷口の場所や範囲は異なりますのでどのタイプが良いかは事前に担当の先生や看護師にご相談頂く方が良いかと思います。
入院時のお持物などもご入院が決まっている患者様には事前にご案内させて頂いておりますが、ご不安な点がございましたらお気軽にご相談ください。
犬の心臓手術について
心臓の音
こんにちは。獣医師の上嶋です。
獣医師がいつも身に着けている聴診器。
私は大学3年生の時に購入したものをずっと愛用していましたが、先日、ついにチューブが劣化し、新しいものに変えました。
今までのネイビーのチューブから、バーガンディーのチューブに変え、気分も一新しました。
獣医師は、聴診器でどんな音を聞いているのでしょうか?
心臓の音、肺の音、腸が動く音など、様々な音を聞いて、動物の状態を把握しています。
今回は、心臓の音についてお話しします。
心臓の音は、第1音と第2音という、二つの音が1セットとなって聞こえます。
よく、「ドックン、ドックン」と表現されますが、ドッの部分が第1音、クンの部分が第2音になります。
これは、心臓の中の弁が閉じる時に聞こえる音です。第1音は、僧帽弁、三尖弁という弁が閉じる時に聞こえる音で、第2音は、大動脈弁、肺動脈弁が閉じる時に聞こえる音です。
不整脈が起こると、「ドックン、ドックン」というリズムに乱れが生じます。
また、弁から血液が漏れてしまったり、血管を通る血液のスピードが速くなると、「ザー、ザー」という雑音が混ざります。
どこのタイミングで、どのような雑音が聞こえるか、また、どの場所で一番大きな雑音が聞こえるかによって、心臓のどこに異常があるかを、ある程度予想することが出来ます。
心臓病は、軽いうちには症状が出ないことがほとんどです。
中には、心臓の音に雑音が混ざらないタイプの心臓病もありますが、定期的に健診を受け、心臓の音に問題がないかをチェックしておくと、早期発見、早期治療につなげられるかもしれません。
犬と猫の心拍数
こんにちは。
心臓病の診療を担当している獣医師の伊藤です。
今回は、「犬と猫の心拍数」についてのお話です。
最初に用語の説明をしておきますが、心拍数とは、
心臓が1分間に動く回数
を指します。
それでは、ここで問題です。
「あなたのお家の犬・猫の心拍数はいくつでしょうか?」
あてずっぽうでも良いので、ちょっと考えてみて下さい。
シンキングタイムです。
…
……
………
…………
はい、回答します。
興奮すると心臓は速く動き、落ち着くとゆっくりになるので、そもそも心拍数は一定じゃないんですが、動物病院で診察をしている時の心拍数をざっくりと言うと、
犬 120~180回/分
猫 180~240回/分
という感じです。
数字だけ見ても実感がわきづらいと思うので、ちょっと補足します。
ご存じのように、1分間は60秒ですので、
心臓が1秒間に1回動けば、心拍数60回/分
となります。
同様に考えて、
心臓が1秒間に2回動けば、心拍数120回/分
心臓が1秒間に3回動けば、心拍数180回/分
心臓が1秒間に4回動けば、心拍数240回/分
となります。
慣れない動物病院に来て大興奮して、「ガルルルル!!」とか「シャー!!」とか言っている犬猫の心拍数は180~240回/分くらいまで上がるんですが、その時は結構なスピードで心臓が動いているんだと分かります。
もちろん、リラックスできる自宅では、心拍数はもっと低くなります。
寝ていたら更に低くなります。
心拍数は動物の胸のあたり、動物がフセをした時に肘があたる部分に手を当てれば測れます。
良かったら、一度、おうちの子の心拍数を測ってみて下さいね。