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病理診断

歯科疾患の病理

こんにちは。病理診断科の平林です。

先日、少し珍しい企画の歯科セミナーに参加してきました。

テーマは、『顎骨嚢胞攻略 ~病理学・臨床病理学・歯科学、3つの視点で考える獣医領の未来』というものです。

顎の骨にできる嚢胞『顎骨嚢胞』について、臨床病理学の小笠原聖悟先生、歯科の樋口翔太先生とともに、病理学パートを担当させていただきました。

顎骨嚢胞をテーマとしたセミナーというのが、獣医学では珍しいのですが、さらに歯科学と臨床病理学、病理学がコラボレーションしたセミナーはかなり珍しく、貴重な機会でした!

病理学パートでは、歯の発生に触れながら、顎骨嚢胞(歯原性嚢胞)の種類、各嚢胞の病理発生機序・組織像・鑑別診断を解説し、最後に病理学から考える診断・治療に望ましい生検・切除範囲についてお話しさせていただきました。

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講演資料を作成するにあたり、顎骨嚢胞について色々と調べてみたのですが、顎骨嚢胞は種類ごとに成り立ちがユニークで、改めて興味深い病変だと思いました。

そして、詳細な診断には臨床像(発生状況)と病理組織像をしっかりリンクさせていくことが重要だと思いました。

顎骨嚢胞(歯原性嚢胞)の病理検査では、採取された嚢胞壁のみで提出されることが多く、臨床情報が少ないと組織像から『歯原性嚢胞』と診断することが多いですが、

どのような部位に、歯とどのような関連を持って発生していたのかという、臨床情報と組織像が結びつくと、歯原性嚢胞の種類まで診断ができるからです。

 

セミナーでは、歯科の先生方と、病理側の私たちとの間で、たくさんのディスカッションが生まれ、とても楽しい時間でした。

そして、疾患の正しい診断や治療には、臨床医と病理医の密なやりとりがとても大切であることをさらに感じました。

 

これからより一層、歯科疾患の病理を勉強し、知識を深めていきたいと思います。

2025年もたくさんの先生方とディスカッションをさせていただき、良い診断ができるよう励んでまいります。

本年もどうぞよろしくお願いします!

 

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