2025年1月

呼吸器科開設について

獣医師の安藤です。

寒い日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

この季節になると、冷気が刺激となってうちの子の咳が増えたような・・・というご相談を受けることがあります。

咳が1日10回以上ある、そこまでではないが徐々に悪化している気がする...

このような場合は呼吸器科の受診をご検討ください!

 

当院では去年の2月より呼吸器科が新しく開設され、毎週火曜日に診療を行っております。

担当の先生は谷口哲也先生です!

私も開設から診療に参加しており、早いもので約1年が経過しようとしています。

谷口先生はこの1年間、兵庫県から毎週来てくださり、その日のうちに帰っていく・・・

体力無限大で、各患者様に寄り添いながら診療を進めていく優しい先生です。

ちなみに一番好きなものは角ハイボールとのことです笑

 

呼吸器疾患の症状というと、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?

呼吸器は主に上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)、中枢気道(気管など2mm以上の気道)、末梢気道(気管支など2mm以下の気道)および肺に区分されます。

症状からどの区分に病変があるのかをある程度絞り込み、その部位に応じた検査内容をご提案します。

例えば、上気道疾患が疑わしければ頭部〜頸部のX線検査やX線透視検査(X線検査の動画ver)、肺が疑わしければ胸部X線検査や肺のガス交換機能をみるための血液検査などを追加します。

診断のために麻酔検査(CT検査や内視鏡/気管支鏡検査など)を行う場合もあります。

疾患の中には病院内では症状が認められない場合もありますので、動画をとっていただけると理解しやすいです!

 

呼吸器疾患の可能性がある症状

・くしゃみ、逆くしゃみ

・鼻汁、鼻がなる、鼻づまり、鼻出血

・えずき

・嚥下障害

・声の変化(かすれるなど)

・息が吸いづらい

・息が荒い

・いびき            

・咳

・開口呼吸

・チアノーゼ(舌が紫色)

・睡眠時に呼吸が止まっている   など

 

よくご相談いただく症状を挙げてみました。

呼吸器疾患はわんちゃん・ねこちゃんの生活の質に直結します。

適切な診断や治療を行うことでより快適な暮らしをサポートできるよう努めます。

このような症状があり、お困りの際は一度呼吸器科へご相談ください!

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腹腔内出血について

こんにちは、獣医師の石川恭平です。

急に寒さが厳しくなってきました。

一緒に過ごしているおうちの子も急な気温の変化でご飯をたべる量が減ったり、体調がきになったりすることもあるかもしれません。

今回は腹腔内出血についてお話ししたいと思います。

腹腔内出血は、病的な原因によりお腹のなかに血液がたまってしまうことです。

血管の中にある血液が少なくなってしまうため、血のめぐりがわるくなってしまいます。

そのため、出血のスピードや量によっては低血圧(ショック)になる命にかかわる病態です。

原因は外傷、凝固障害、できものからの出血、臓器障害、アナフィラキシーなどがあります。

成犬ではできものの破裂による出血が最も多いと報告されています。

しかしながら、お腹の中の出血は目でみることはできません。

文献で報告されている症状を下記に記しますが、実際は無気力や食欲不振などの漠然とした兆候から虚脱まで多岐にわたります。

腹腔内出血の主な症状

  • 粘膜が白くなる
  • 末梢の拍動が消失
  • 毛細血管再充満時間の消失(歯茎などを押してピンク色に戻るまでの時間)
  • 頻脈または徐脈
  • 低体温
  • 頻呼吸
  • 意識障害
  • 腹部膨満(40mL/kg以上の貯留液が必要)

 

受診時の検査としては、血圧測定、血液検査、凝固検査、FAST(超音波検査での貯留液の確認)などをおこないます。

身体の中に貯留液が認められた場合は細い針を刺して出血かどうかの確認をします。

ショックの兆候がある場合はその治療をしながら検査を進めていくことになります。

初期の治療は点滴などで循環を維持することです。血管を収縮させる薬や輸血をおこなうこともあります。

その後の治療は出血の原因によって異なります。

しかし、ショック、感染症、できものなどにともない、微小な血栓ができやすくなることがあるため、予後には注意が必要です。当院では必要に応じて抗血栓療法を実施することがあります。

一緒に過ごしているわんちゃんねこちゃんに違和感を感じた場合は、是非ご相談ください。

 

 

 

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