2015年9月
埼玉動物医療センターの、ちょっと便利な設備
こんにちは。
受付の高橋です。
新しい病院に引っ越して、早いものでもう半年が経ちます。
この間、何人かの飼い主様より会計時に「これいいわね。」「これ便利だね。」と言われたものがあります。
何だと思いますか?
答えはこれです。↓
ワンちゃんのリード係留フックですが、診察が終わると出口にまっしぐらなワンちゃんも多い中、会計時に両手が使えてとても便利とのことです。
このドッグパーキングは、受付カウンター以外に、待合室のトイレ、診察室、外の水道の横や柱にも取り付けられています。
既にお気付きの方、ご利用の方も多いと思いますが、是非ご利用ください。
世界獣医麻酔会議に参加してきました
こんにちは、副院長の石川です。
9月の第1週は休みをとって京都で開催された世界獣医麻酔会議(WCVA;world congress of veterinary anaesthesiology)という学会に参加してきました。
この学会は3年に1回、世界のいろいろなところで開催され、各国の麻酔を専門とする獣医師が集まります。
今年はなんと日本での開催という当たり年で、私は麻酔を専門としているわけではありませんが、この機会を逃すまいと思い参加してきました。
せっかくですので麻酔というがどういうものかを少し説明しようかと思います。
麻酔は手術などの治療を行っていく上で非常に重要なもので、患者となる動物さんを①動かなくすること(不動化)、②眠らせること(鎮静)、③痛くしないこと(鎮痛)、を安全に行うことが目的です。
麻酔が必要になるのは主に手術を行うときです。
動物が動いてしまうと安全に手術ができないので、①の動かなくする(不動化)というのが必要になります。
でも動けない動物がそのまま手術を受けると、とても怖い記憶が残ってしまいますよね。
そのため、眠っている間に嫌なことは済ませてあげたいので、②の眠らせる(鎮静)ということも大事になります。
せっかく眠っても痛みがあれば起きてしまいますし、起きたとき強い痛みが残っているのではかわいそうです。
手術は少なからず痛みを伴う治療ですので、この痛みを最小限にするため、③の痛くしないこと(鎮痛)というのもとても重要なのです。
動物が安全に眠っている間に、痛みを感じさせずに手術を終えるのが理想的な治療です。そのために、麻酔の技術は日々研究され、進歩しているわけです。
さて、今回の学会の話に戻ります。
4日間の日程で行われたのですが、世界的な集まりなので当然ながらすべてが英語でした。
自分は英語を苦手としており、難しい内容を英語で聴かなければいけないということで、非常に集中力を消耗しました。
それでも、なかなか参加する機会のない学会に参加でき、良い刺激になりました。
欲をいえば、天気が良くて京都観光も合わせて楽しめたらよかったのですが、あいにくの雨続きであまり叶いませんでした。まあ、それはまた別の機会にとっておくことにします。
りゅう君が、がんになりました。(犬のがん)
腫瘍科を担当しています林宝です。
私は、主にがんの動物の診療をさせていただいています。がん患者様の診療で特に気をつけている事は、
1.正確な診断、がんの進行度の判定
2.適切な治療方法の選択肢の提案
3.ご家族や動物の様々な状況に寄り添った治療の提案
4.各治療の利点、欠点、リスクをできるだけわかりやすくお伝えする
5.将来の予測をできるだけ正確にご家族にお伝えする
この5つを常に念頭におきながら動物とそのご家族に何がベストなのかを考えながら診療にあたっています。
そんな中、長い間献血で大活躍してくれた当施設の看板犬の1頭であるりゅう君の前肢に軟部組織肉腫というがんが見つかりました。
発生した部位が肘である事や、組織検査の結果で悪性度が高い可能性が予測された事などから治療の選択は非常に難しい判断となりました。
前述の5つのポイントを自分に問いかけながら手術、抗がん治療、放射線治療など様々な治療方法を担当スタッフと検討しました。
その結果、我々は、りゅう君の左前肢を断脚する事に決めました。
苦渋の決断でした。
がん治療において断脚を行う目的は大きく分けて2つ存在します。
1つは、完治や長期延命を目的としたもの、もう一つはがんの完治は期待できなくてもがんによる痛みを取り除く目的で行うケースです。
いずれのケースでも断脚の必要性を告知されたご家族のショックは多大なものだと思います。
私が、断脚を提示した際に、殆どのご家族は1回断脚を拒否します。
その理由は殆どの人が断脚手術後に動物が歩けなくなってしまうと思っているからです。
我々人間と違い、4本の足を持つ動物は3本足でも想像以上に上手に歩き、走ることができます。
また、外観上の変化を悲観してしまうこともありません。
既に痛みを伴っている動物では痛い足を引きずりながら生活するより生活の質もかえって向上します。
もちろん残った3本足に関節炎などの他の病気が存在する場合や極度の肥満動物に対しては断脚手術を慎重に検討する必要があります。
獣医師は術前に詳細に動物の評価を行い、動物の断脚後の生活をできるだけ正確に予測し、ご家族にそれを伝える事が重要だと思います。
また、断脚を回避できる他の治療方法についても詳細に検討する必要もあります。
手術の危険性についても誤解が多いように思います。
断脚手術は決して簡単な手術ではありません。
もちろん術前に動物の体力を詳細に把握しておく事は必須です。
しかし、十分なトレーニングと経験を積んだ獣医師が執刀すればハイリスクの手術では決してありません。
これらの誤解は、動物のご家族のみならず、我々獣医師や動物看護師にも存在しているように思います。
りゅう君のがんは、前肢を温存しての手術や術後の抗がん治療あるいは放射線治療を併用する方法も考えられました。
しかし、彼の年齢やシャイな性格も考慮して今回の治療法に決めました。
りゅう君は今回の手術で完治が十分に見込めます。
当施設には、幸いリハビリテーションの専門スタッフがおります。
人同様に動物でもリハビリテーションは、非常に重要です。
手術直後から徐々にリハビリテーションを開始しています。
手術直後は少し戸惑っていましたが、今は日々元気なりゅう君に戻ってきています。
りゅう君は、これまで献血で数え切れないほどの動物の命を救ってくれました。
私のかけがえのない相棒の一人です。
1日でも元気で長生きしてもらいたいと願っています。
皆さん応援よろしくお願いします!