2014年12月
けいれん発作が起きたときの対処法
こんにちは、獣医師の鵜飼です。
年の瀬ですね、2014年も残り1週間となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今回は、けいれん発作が起きたときの対処法をお話したいと思います。
けいれん発作は緊急として昼夜問わず病院へ運ばれてくることが多いものの一つであり、この年末年始にもご経験される方もいらっしゃると思います。
まず、人と同じように犬でも猫でも起きます。
見慣れていない方が全身性のけいれん発作を見るとパニックになってしまうこともしばしばあるかと思います。
原因として、大脳皮質と言われる大脳表面の皺の部分に障害が生じると発生すると考えられています。つまり、根本的な原因が何にせよ、大脳皮質が障害を受けると生じます
*脳自体の障害:特発性てんかん(一般的に”てんかん”と言われているもの)、 脳炎、脳腫瘍、脳梗塞など
*脳以外の障害:血液成分の異常、肝臓疾患など
これらの疾患はどれであっても同じようなけいれん発作を起こすので、原因の病気を診断して治療していく必要があります。
では、本題のご自宅・外出先でけいれん発作が起こったらどうするか。
・顔の周りは絶対に触らない
・周囲にある、ぶつかると危ないものをどける
・けいれん発作の時間を測る、動画に撮る
・止まった後、犬・猫の状態をしっかり見る
・群発発作、重責発作(下記に説明)になれば、昼夜問わず病院へ
一般に、けいれん発作は脳が過剰な興奮状態にあります。そのため、止めようとして抱っこしたり、必死に呼びかけたりしても、残念ながら止まりません。
けいれん発作中は意識が消失していることがほとんどなため、抱っこする際に手を噛まれたりするケースが多いです。噛む力も無意識であるため非常に強く危険です。
また、抱っこした腕から落ちてしまう危険もあります。
では、そのままにしておくのか?
多くの場合けいれん発作自体は2-3分、長くても5分以内に自然に止まります。
そのため、止めようと抱っこするのではなく、周囲のぶつかると危険なものをどけることが大事です。
また、けいれん発作の時間を測り、携帯などで動画を撮ることが今後病院へ来院したときの診断・治療の一助となります。
けいれんには様々なタイプがあり、口頭での説明では獣医師にうまく伝わらないことが度々あります。
動画があれば、一見ですべて伝わりますので、ぜひ活用してください。
そしてけいれん発作が終わった後も犬・猫の様子をしっかり見てあげてください。
いつもと同じように戻っているのであれば、焦って病院へ連れて行く必要はありません。
夜間であれば、翌日以降の診察に行かれることをお勧めします。しかし、ぐったりしていたり、呼びかけにも反応しない、以下のような状態であれば、すぐに病院へ連絡してください。
・群発発作:1日に発作が2回以上、何度も起こす場
・重責発作:発作の時間が5分以上続く、または1回目の発作が終わった後、意識が戻らない(呼びかけに反応しない)まま、2回目の発作が起きる
上記の場合は、けいれん発作の緊急事態ですので、早めに病院へご連絡ください。
年末年始にご家族の犬ちゃん・猫ちゃんにけいれん発作が起きないことを祈っています。
犬や猫の肥満について
こんにちは、獣医師の下田です。
寒い季節になりました。
犬の散歩もなかなか気が進まない気温が続いています。
こんな季節なので、今回は肥満について少し考えてみましょう。
そもそもなぜ太ってはいけないか?それは太る(または太るような食生活を送る)ことによって病気になる可能性を高めることもあるからです。
例えば、
・短頭種とよばれる鼻の短い犬種(フレンチブルドックやパグなど)は太ると、呼吸困難になるリスクが上がります。
・太っている猫ちゃんが急にご飯を食べなくなると、肝臓の病気になってしまう可能性が高くなります。
・太ってしまう様な食生活を続けることで肝臓などの内臓に影響を与えたりします
・いざ緊急手術を行わなければいけない状態になった時、標準体型の子よりも麻酔の危険性が高くなってしまうこともあります。
このような可能性を考えて日頃から体重管理を気にしてあげるのはとても大切です。
そのためには適度な運動、適切な量の食事を心がけましょう。
自分のわんちゃん、猫ちゃんが適切な体型にあるのかどうかということが分からない場合は一度病院で獣医師に健康診断してもらうことをお勧めします。
獣医師はその犬種の体重・触った感触(肉付き)などから体型をスコアで表し体重だけでなく適切に評価する様に心がけています。
犬種によっても必要な運動量が大分違うので、今の体型は適切か?食事量や運動量はどうしたらいいのか?などの相談ができると思います。
12月も半分過ぎ、これからまだまだ寒くなります。わんちゃん、ねこちゃん、またそのご家族の健康を願っております。
勉強会
こんにちは、動物看護師の田辺です。
今回は11月のVTセミナーの様子をお伝えしたいと思います。
余談ですが、VT(=veterinary technician)とは私達、動物看護師を意味します。
今回は当院の獣医師である石川先生、森田先生、下田先生からそれぞれ
「猫の感染症」
「動物がなりやすい中毒」
「オペに使う麻酔器」
の話をしていただきました。
動物看護師向けの内容ですが、それ以外のスタッフも全員が参加しています。
獣医さん達から、教科書や本ではわからないことを話してもらったり、聞きたかったことを質問したり、情報を共有したりと、毎月行われるセミナーはとても勉強になります。
今、どんな顔していますか?
動物看護師の吉川です。
12月に入り、だんだんと寒くなってきましたね。
風邪は引いていませんか?
インフルエンザの予防接種はもうお済みですか?
飼い主様方も体調には十分気をつけてくださいね。
動物達も季節によっては体調を崩しやすい時期です。
最近、可愛い我が子の行動を観察していますか?
頭からしっぽまで触っていますか?
何か変化はありませんか?
年だから痩せてきたのかな…
お腹だけ張っている…
食欲が以前に比べて落ちた…
トイレに行く回数が増えた…
おしっこの色、うんちの形、臭いは?
咳をするようになったかも…。
ちょっとした意識で変化に気づけます。
少しでも疑問に思ったらお散歩のお友達に相談してみたり、病院に気軽に電話してみてくださいね。
その子の親は飼い主様だけですからね。
今、どんな顔してますか?