病理診断
病理診断と特殊染色
こんにちは。病理診断科 技師の密本です。
今回は特殊染色についてお話します。
以前、病理診断の基本染色であるヘマトキシリン・エオジン(HE)染色と、追加検査として行う免疫染色について説明しました。特殊染色も免疫染色と同じで、H E染色では分かりづらいことがある場合に実施する補助的な染色です。
免疫染色は抗原抗体反応を利用して目的とするタンパク質の有無の評価をするのに対し、特殊染色では化学反応を利用して特定の物質の有無を評価します。
当科では10種類の特殊染色を必要に応じて実施し、診断に役立てています。
最も行う機会が多いのは、トルイジンブルー染色です。
肥満細胞腫の診断において、リンパ節転移があるかどうか判断するために実施することの多い染色法です。
H E染色とトルイジンブルー染色ではどのように見え方が違うのか見てみましょう。
右後肢のできものが肥満細胞腫と診断されたワンちゃんの鼠径リンパ節のH E染色です。
リンパ節には、リンパ球やマクロファージを始めとする免疫細胞がみっちりと存在しているため、H E染色だけでは初期の腫瘍の転移病変は見つけづらいことがあります。
実際、全体が一様に染まっていてパッと見ただけではみんな同じ細胞に見えませんか?
そこで、このリンパ節にトルイジンブルー染色を施しました。
トルイジンブルー染色では肥満細胞の中の顆粒が赤紫色に染まります。
このようにH E染色では分かりづらかったことが、特殊染色を行うことによりはっきりとします。
今後ともH E染色、免疫染色、特殊染色の腕を磨き、当院の病理診断に役立てられるように頑張ります!
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