総合診療科
腹腔内出血について
こんにちは、獣医師の石川恭平です。
急に寒さが厳しくなってきました。
一緒に過ごしているおうちの子も急な気温の変化でご飯をたべる量が減ったり、体調がきになったりすることもあるかもしれません。
今回は腹腔内出血についてお話ししたいと思います。
腹腔内出血は、病的な原因によりお腹のなかに血液がたまってしまうことです。
血管の中にある血液が少なくなってしまうため、血のめぐりがわるくなってしまいます。
そのため、出血のスピードや量によっては低血圧(ショック)になる命にかかわる病態です。
原因は外傷、凝固障害、できものからの出血、臓器障害、アナフィラキシーなどがあります。
成犬ではできものの破裂による出血が最も多いと報告されています。
しかしながら、お腹の中の出血は目でみることはできません。
文献で報告されている症状を下記に記しますが、実際は無気力や食欲不振などの漠然とした兆候から虚脱まで多岐にわたります。
腹腔内出血の主な症状
- 粘膜が白くなる
- 末梢の拍動が消失
- 毛細血管再充満時間の消失(歯茎などを押してピンク色に戻るまでの時間)
- 頻脈または徐脈
- 低体温
- 頻呼吸
- 意識障害
- 腹部膨満(40mL/kg以上の貯留液が必要)
受診時の検査としては、血圧測定、血液検査、凝固検査、FAST(超音波検査での貯留液の確認)などをおこないます。
身体の中に貯留液が認められた場合は細い針を刺して出血かどうかの確認をします。
ショックの兆候がある場合はその治療をしながら検査を進めていくことになります。
初期の治療は点滴などで循環を維持することです。血管を収縮させる薬や輸血をおこなうこともあります。
その後の治療は出血の原因によって異なります。
しかし、ショック、感染症、できものなどにともない、微小な血栓ができやすくなることがあるため、予後には注意が必要です。当院では必要に応じて抗血栓療法を実施することがあります。
一緒に過ごしているわんちゃんねこちゃんに違和感を感じた場合は、是非ご相談ください。
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://www.samec.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/705