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総合診療科

ダニについてのお話です

近郊の山でも紅葉が進み、渋みのある山肌になってまいりました。

いよいよ晩秋〜初冬といったところでしょうか。寒暖差の激しい日々が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょう。

暖かい日中には、お散歩しているワンちゃんや、ひなたぼっこしているネコちゃんを見かけることもしばしば。

ハエやカなどの昆虫も減ってきましたね。

しかし、屋外にはまだまだ危険が潜んでいるかもしれません。

皆さんご存知の“ダニ”は、秋でも油断できない虫の一つです。

ダニの活動期としては、12月は少々遅めかも知れませんが… 今回はダニについてのお話です。

 

そもそもダニとはどんな生き物でしょう。

ダニは節足動物門-クモ綱-ダニ目に分類される虫で、“昆虫”ではありません。

吸血するものから、血を吸わずに他の虫、植物、動物の皮脂を食べたり、衣類についたり、動物の皮膚にトンネルを掘ったり、蜂の気管に寄生するものまで多種多様です。

中でも、ワンちゃんやネコちゃんにくっついて吸血するものは後気門目と呼ばれ、マダニの仲間が該当します。

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マダニは、卵→幼ダニ→若ダニ→成ダニの順に成長し、各段階で十分に血を吸うと、脱皮して次の発育段階に進みます。

日本で見られる多くの種は、宿主の体から一旦落下して地面で脱皮します。

脱皮が終わると、二酸化炭素や赤外線を検知し、動物にくっついて吸血するのです。

成ダニは吸血を終えると再び地面に落下し、落ち葉や草の陰に数千個の卵を産みます。

孵化した幼ダニは動物の体毛にトラップされると瞬く間に散らばってしがみつくのです。

これが厄介で、ちょっとやそっとでは振り払えず、吸血すると口器はしっかり皮膚に食い込みます。

私自身山が好きで、時々運悪く幼ダニの群れに突撃することがありますが、数十匹程が一斉に衣服に広がる光景は恐ろしいです。

マダニの怖さは、咬傷による皮膚炎のみならず、体内に様々な病原体が潜んでいるかも知れない点、それらが傷口から侵入し病気を引き起こすかも知れない点、さらにそれらが別の動物や飼い主に伝播するかも知れない点にあります。

特に動物とヒトの間で伝播する感染症は人獣共通感染症と呼ばれ、マダニはこれらの代表的な媒介者や感染源の一部となり得ます。ワンちゃんやネコちゃんでは、原虫によるバベシア症、ウイルスによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、細菌によるヘモプラズマ症、日本紅斑熱、ライム病などの感染症が挙げられます。

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マダニの病原体保有率は、流行地域、ダニや病原体の種類、季節によって異なりますが、全てのマダニが病原体を保有しているわけではありません。

ただし、マダニに咬まれて感染症に罹患し、重症化や死亡するワンちゃんやネコちゃんがいるのも事実です。

事前の対策がいかに重要かご理解いただけると思います。

当院HPでも紹介していますように、スポット製剤、スプレー、内服、環境整備などによる予防が効果的です。

また、寄生時には適切な対処が必要になります。お困りの際にはぜひ当院にご相談ください。

大切なワンちゃんやネコちゃんの体を普段からよく観て触ったり、様子を観察してあげることも大切です。

アウトドア好きのワンちゃんやネコちゃんでは、特に気にかけていただけると良いかも知れませんね。

 

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