フィラリア(犬糸状虫)症の予防について
こんにちは、獣医師の高井です。
少しずつ気温も上がり、夏が始まろうとしています。
暑くなると蚊が多くなってきますよね。蚊と言えばやはりフィラリア症ですよね?
というわけで少し強引ですが、今日はフィラリア(犬糸状虫)症の予防についての話をしたいと思います。
多くの方がご存知かもしれませんが、フィラリア症は糸状の虫が心臓に寄生する病気で、蚊が媒介します。
蚊の体内に寄生しているフィラリア幼虫が吸血時にワンちゃん(ネコちゃんもなりますが、まれ)に移行することで感染が成立します。
それを予防するためにフィラリア症予防薬を毎月飲んでいるのです。
なぜ毎月なのか疑問に思われたご家族の方も多いのではないでしょうか?
そのことについて少し解説したいと思います。
実は予防薬を飲んでいても、フィラリア幼虫が寄生している蚊に刺されたワンちゃんはフィラリア幼虫に感染してしまうのです。
幼虫の段階では、皮下に感染しているため、特に症状は出ません。
その幼虫を、フィラリア症予防薬を飲むことで毎月駆虫しているのです。
しかし、予防薬は幼虫の限られた発育段階でしか完全な効果を発揮できません。
その限られた発育段階を過ぎてしまった場合、幼虫は成虫になり、血管内へ移動、最終的に心臓へ移動し、フィラリア症が発症してしまいます。
そのため、一回でも予防薬を飲み忘れてしまうと幼虫が成長してしまい、予防薬が効かずにフィラリア症になってしまう可能性があるのです。
フィライリア症は治療が難しいこともありますが、発症していることに気づかずに予防薬を飲んでしまうとショック状態になり、命に関わることもある怖い病気です。
長くなってしまいましたが、大切なことは
①毎月きちんと予防薬を飲む(当院では、最低でも4月末から11月末までの投薬をお勧めしています。)
②もし忘れてしまった場合はきちんと獣医師に報告をする
です。
余談ではありますが、フィラリアは世界中で500種類以上存在しており、今回お話した犬糸状虫はその1種類です。
ごくまれではありますが、犬糸状虫が人に感染した例も報告されています。
ワンちゃんとご自身を守るためにもしっかり毎月必ず予防薬を飲みましょう!
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