猫の皮膚病について
こんにちは獣医師の徳山です。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。段々暖かくなり過ごしやすくなってきましたね。
本日は猫の皮膚病についてお話ししたいと思います。
猫は犬よりも皮膚病は少ないですが、中にはかかると非常に厄介な病気があります。
その病気の名前は皮膚糸状菌症という病気で、原因は真菌(カビ)の一種です。
糸状菌にはいくつか種類がありますが、本日は猫の糸状菌症の中でも最も多いMicrosporum.canis(以下M.canis)という真菌についてご説明します。
なお、この病気は猫に特に多いですが犬にも発生することがあります。
症状としては脱毛・切れやすい毛・赤み・痒み・黄色いかさぶたなどがありますが、これらの症状が全くないが真菌が毛にくっついていることもあります。
どこから感染するかもあまり詳しくわかっていませんが、毛や家の埃にのって感染すると言われています。
感染した時には治療として薬や繰り返しのシャンプーが必要になり、治すのには4〜8週間ほどかかります。
皮膚糸状菌症(M.canis)に感染した猫の皮膚
厄介な点の一つが、人にも感染することです。
特に免疫力の弱い赤ちゃんや子供に感染しやすく、最初の症状としては円状の皮膚炎として見られ悪化してくると皮膚が硬くなってその部分は毛が生えなくなり治療が遅れると元に戻らなくなることがあるので、症状が出たら早めに人の皮膚科の受診をおすすめします。
もう一つの厄介な点がその生命力です。
猫の毛や家の埃に付着した真菌は、数ヶ月〜数年生きて猫や人に感染力を持ち続けるので治療が終わっても繰り返し感染してしまいます。
これを防ぐには家中の除菌が必要になります。
除菌の方法は大きく分けて二つあります。
一つは塩素です。
しかし塩素で真菌を除菌しようとすると時間がかかり、そのうえ脱色作用があるので家具などが脱色されてしまいます。
もう一つは熱で44℃以上の熱で真菌はすぐに死滅するので掃除用の高温スチーマーを使って家中を掃除するのも有効です。
また布などは熱湯に漬けるといいでしょう。
しかし、どの方法を取ってもとにかく家の隅々まで(エアコンの内部なども)繰り返し掃除する必要があり、布のソファなど除菌し切るのが難しいものは捨てなくてはいけないこともあり本当に大変です。
最も大事なことは家に真菌を持ち込まないようにすることで、猫や犬を新しく飼う時に皮膚の症状はないかなどは気にした方がいいでしょう。
新しく迎える猫や犬が痒がっていたり皮膚が赤くなっていることがあれば一度当院までご相談ください。
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