老化はなぜおきるのでしょう
こんにちは。獣医師の平林です。
先月、第1回シニア教室が開かれました。
予想以上の大勢の方々にご参加いただき、改めて『老化』とは大きなテーマであること感じました。
老化とは、時間の経過とともに進行する体の衰えを示します。衰えは見かけや体の調子の変化としてみられますが、その変化はもとに戻すことはできません。
教室では老化に伴ってみられてくる症状についてお話ししました。ここでは、老化とはなぜ起きるのか、ミクロの世界のお話をしたいと思います。
私たちの体は、さまざまな種類の細胞からなり、無数の細胞が集まってつくられています。
細胞は寿命がくると消えてしまうのですが、多くの細胞は分裂することで新しい細胞に入れ変わり、体が保たれていきます。
それぞれの細胞の寿命はさまざまで、どんどん分裂をして新しい細胞に入れかわるものと、一生を分裂せずに過ごす細胞があります。
例として、皮膚や血液の細胞は分裂がとても活発です。皮膚にケガをしても数日のうちに良くなるのは、すぐに新しい細胞で補うことができるからです。
一方、神経や筋肉の細胞は生まれてから死ぬまで分裂をしないで過ごします。神経や筋肉がケガをしたときには、傷ついていない細胞が、傷ついた細胞の分まで頑張ることで働きが保たれます。
このように、ヒトや動物の体は保たれているのですが、それでも衰えてきてしまうのです。
その理由はいくつかあるようです。
細胞が分裂し、新しく入変わることのできる回数には限りがあること、細胞にいらないものがたまったり、傷ついたりしてうまく働けなくなってきてしまうことが主な理由です。
細胞が衰えてくると、脳や筋肉、内臓などの働きが悪くなり、いわゆる『老化』としてみえてくるのです。
老化は、私たちが生きていく中でおきる変化の積み重ねであり、避けることのできないものです。
生き物の種類により老化の早さは違い、わんちゃん、ねこちゃんはヒトの5-7倍の早さで進んでいきます。
少しでも長く、元気に過ごしてほしいものですが、起きてくる変化を、長く生きてくれた証として受け入れてつきあっていくことが大切です。
適切な栄養・体重管理、ストレスの少ない生活環境づくり、適度な運動や遊びは体によく、老化を遅くするといわれています。
これらはご家族や私たちのしてあげられることです。
細胞を守り、元気に長生きしてもらいましょう!
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