犬の整形外科疾患(前十字靭帯断裂)
獣医師の福田です
一瞬のうちに夏が去り、少し肌寒くなってきました。
寒さが苦手な私にとってはちょっと朝夕が辛いのですが、動物たちにとってはとても過ごしやすく、またお散歩が楽しい時期ではないでしょうか。
そんな時期、お散歩の時間が増えてかどうか、当院の整形外科には跛行のある患者さんがよくご来院されます。
特に最近多いのは膝の前十字靭帯に問題を持った犬です。
前十字靭帯断裂は犬の整形外科疾患で最も多い疾患と言っても過言ではありません。
それゆえ、世界中で開発された手術方法は50種類以上あるとも言われています。
なぜそんなに沢山の方法があるのか。それは未だにその原因が分かっていないからです。
人の前十字靭帯断裂は大抵がアスリートなどが外傷により起こします。
しかし犬の場合は、明らかな外傷がなくても突然切れてしまうことがあるのです。
それゆえ、犬の前十字靭帯断裂は疾患と言われています。
考えららている原因は肥満、ホルモン、免疫介在性関節炎、骨の形態的異常など様々ですが、それらが靭帯を徐々に変性させることで靭帯が弱くなるため断裂を起こす言われています。
つまり、犬の前十字靭帯断裂は徐々に起こっていて、最終的に完全に切れてしまうのです。
では、前十字靭帯が徐々に切れているとき、完全には切れていない時は犬はどのような症状を出すのでしょうか?
これはとてもはっきりしない症状が多く、軽い跛行ですぐに治ったり、お座りがきれいにできないだけということもあります。
このような症状は数年にかけてたまに発生し、完全に切れた時には足を挙げることになります。
前十字靭帯断裂の治療には手術が必要なのですが、特に早期に、完全に断裂していない時に手術を行うと関節炎の進行を大幅に食い止めることができるという報告もあります。
ですから、お散歩の時に少し注意をして歩き方や仕草を観察してみてください。
軽い跛行が起こったり、おすわりがうまくできないのはもしかしたら前十字靭帯に問題があるかもしれません。
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