ワンちゃんの骨折治療
こんにちは。獣医師の庄山です。
最近梅雨に入り、ジメジメとした雨の日が続いています。
私は去年自転車から転倒して手を骨折しました。現在骨はくっついていますが、湿度の高い最近は骨折部が痛むことがあります。皆さんも季節や天候により関節や骨が痛むことを経験したことがあるのではないでしょうか。
ワンちゃんも何かのアクシデントで骨折することがあります。特にトイプードルやヨーキー、パピヨン、ポメラニアン、イタリアングレーハウンドなどの小型犬の前足の骨折が近年増えています。その理由としては
① 前足の骨が非常に細長い
② ぴょんぴょん飛び跳ねたりジャンプするのが大好き
③ 日本で暮らしている小型犬の頭数(約18万頭)が多い。
などです。
特に1歳未満の若いワンちゃんは骨が軟らかく、ソファーから飛び降りただけでも骨折してしまう子もいます。
今回は当院の中でも特に骨が細かったワンちゃんの骨折治療をご紹介したいと思います。
チワワさんが抱っこの状態から誤って落ちてしまい、前足を骨折しました。
下の写真はその時のレントゲンです。 前足の手首に近い部位で斜めに骨折しているのがわかります
骨折していない前足
骨折している前足
骨折の治療は大きく分けて2種類あります。手術かギプスなのですが、骨が細いワンちゃんの場合ギプスでの治療が難しいことが多いです。この子の場合、骨の太さは4.7mmと非常に細く、骨折部がたった1mmずれただけも20%以上ずれることになります。その場合骨がうまくつかないことがあります。
ご家族との相談の結果手術をすることになりました。
手術に使用したプレート(特殊な金属の板)は薄く、スクリュー(プレートと骨をくっつけるネジ)は直径1mmで長さは5mmしかありません。
手術方法は骨にネジ穴を開けて、スクリューでプレートを骨に固定します。口で言うのは簡単ですが、非常に繊細で難しい手術です。しかし、当院では経験豊富な整形外科専門医が実際に手術を実施しているのでご心配にはおよびません。
下の写真は手術後のレントゲンです。
手術直後
手術後2週間
手術後4週間
手術後8週間
手術後すぐに骨折した足が使えるようになりました。
手術から2ヵ月で通院は終了し、今現在元気に走り回っています。
骨折は予防が可能なアクシデントです。ご自宅で実施できる予防策はいくつかあります。
・家具の上からの飛び降りを制限する
ソファーに階段を付ける、ソファーやいすに一人で乗せないようなしつけ
・床が滑らないような工夫
じゅうたんやカーペット、クッション性の高い床材(コルク性など)
・お散歩
ストレス解消のためにも外で十分な運動量確保し、室内で過度に運動させない。
小型犬の骨折はたいてい室内で起こります。
自分で骨折を経験された方はわかると思いますが、骨折すると非常に痛いですし治療期間はつらいものです。
小型犬の骨折が少なくなるように、以上のような飼育環境の整備をぜひお願い致します。
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