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腫瘍(がん)

犬の乳腺腫瘍

犬のお乳(乳腺)は左右5対あります。乳腺にしこりができたら乳腺腫瘍の疑いがあります。

犬の乳腺腫瘍

犬では発生が多く、ヒトの3倍なりやすいといわれています。
雌犬の腫瘍では発生が最も多いです。
高齢の雌、特に避妊手術をしていない場合に多く発生します。原因はホルモンの影響が大きいと考えられています。
良性と悪性の割合はほぼ50%で、多くの乳腺腫瘍は早い段階に手術を行うことで治すことができます。

良性(50%) 悪性(50%)
悪性度が低い(25%) 悪性度が高い(25%)

最初に行う検査 ―針吸引検査-

しこりに針を刺して細胞の検査を行います。乳腺腫瘍なのか、他のできものなのかどうかを調べます。乳腺腫瘍が疑われる場合には全身検査や手術を検討します。なお良性か悪性かの特定はできません。

犬の乳腺腫瘍

手術を行うかどうか?

手術は治療と同時に診断をつけるために行います。手術をしないと良性・悪性の診断がつかないことと、早期であれば多くが手術だけで治る(乳腺腫瘍の3/4)ことから、手術を行うことが推奨されます。

※ただし、以下の場合には手術を見合わせることがあります

  • 転移してしまっている場合(手術をしても治らない)
  • 他に悪いところがある(麻酔、手術の危険性が高い)
  • 炎症性乳癌

手術前検査

血液検査 全身状態の確認
血液凝固系検査 血がきちんと止まるか
レントゲン検査 転移や他の病気がないか
超音波検査
尿検査 腎臓に問題がないか
心電図 不整脈がないか
血圧測定 高血圧でないか
甲状腺ホルモン検査 ホルモン異常がないか
CT検査※ 小さな転移の検出

手術の方法

  しこりだけとる しこりの周囲の乳腺もとる 片側の乳腺をとる
手術方法 乳腺手術1 乳腺手術2 乳腺手術3 乳腺手術4
他の乳腺での再発  
手術の負担  
入院 3~5日 7日前後 7~14日
費用  
避妊手術について

高齢になってからの避妊手術は乳腺腫瘍の治療や再発予防には効果はありません。
ただし、乳腺腫瘍が発生するような高齢の雌では子宮や卵巣に異常をきたしているこが多く、避妊手術を行うことで卵巣・子宮の病気の予防・治療効果があります。
そのため、未避妊の場合には乳腺腫瘍の手術と同時に避妊手術をおすすめしています。

手術後は?

  • 傷が治れば普段通りの生活が送れます。まれに傷の治りが悪いことがあり、その場合通院が必要です。
  • 摘出したものの検査結果によっては抗がん治療を行う場合もあります。
  • 数ヵ月毎の定期検査(血液検査、レントゲン、超音波検査など)が推奨されます。