腫瘍(がん)
組織球性肉腫
組織球性肉腫(悪性組織球症とは)
組織球性肉腫はバーニーズ・マウンテン・ドック、ゴールデン・レトリバー、フラット・コーテッド・レトリバー、ロットワイラーに発症の多い癌の一種です。
癌の中でも極めて悪性度が高く急速に全身へ転移し、死亡する事が知られています。
今までは有効な治療法はないとされていましたが、 2003 年のアメリカの癌学会で効果のある抗がん剤が報告されました。
その後、日本でも抗がん治療が積極的に行われるようになり、約 50 %の犬で抗がん剤の効果が見られる事がわかってきています。
また、以前は診断後、数日~ 6 ヶ月でほぼ全ての犬が亡くなってしまうといわれていましたが、近年では早期発見例で抗がん剤が効けば延命が可能な例も報告されています。
治療方針について
1. 延命を目標において抗がん治療を行う。
抗がん剤の副作用
- 好中球減少症
- 血小板減少症
- 食欲の低下(まれ)
- 消化器症状(極めてまれ)
- 肝障害(時々)
- 経過観察を行い、転移の徴候が見られた時点で抗がん治療を検討
※全身に転移が見られた後の抗がん治療では通常延命が可能な期間は 3 ヶ月です。
2. 抗がん治療は行わず、症状にあわせて緩和治療(痛み止め、咳止めなど)を行う。
※一般的には数ヶ月以内(通常は 6 ヶ月以内)に肺、肝臓、脾臓、骨髄、リンパ節、脳、骨、関節など全身に転移を起こし死亡します。
※抗がん治療は決して簡単な治療ではなく、我々病院スタッフとご家族、動物がチームとなって癌と戦っていく治療となります。例え抗がん治療を行っても完治は難しい病気であり、可能性にかける治療となります。