CT検査時の全身麻酔の重要性について
こんにちは。
画像診断科の杉野です。
今回は、CT検査時の全身麻酔の重要性についてお伝えしたいと思います。
動物の場合、CT検査を行う際には基本的に麻酔をかけて行います。
飼い主様の中には、なぜ麻酔が必要なのか疑問に感じる方もいらっしゃるかと思います。
その理由は、検査中に動物が動かないようにするためです。
動物はこちらの指示に従って体を動かさないようにしたり、呼吸を止めたりすることはできません。
レントゲン撮影時には、獣医師や看護師が動物を保定して動かないようにすることができますが、CT撮影中は被曝の観点からCT室内に入ることができず、動物の動きを制御できません。
また、CT検査では呼吸のようなわずかな動きであっても画像の品質に悪影響を与えます。
実際に検査中に動いてしまった場合、どれほどの影響が出るのか紹介したいと思います。
呼吸による動きがある状態で撮影された画像(図1)と、完全に不動化された状態で撮影された画像(図2)を比べてみてみましょう。
(図1)
(図2)
図1では画像がブレてしまい、臓器や血管、骨などの正確な評価ができません。
それに対して図2では鮮明な画像が得られています。
当然ながら、図1のような画像では適切な診断を下すことはできません。
全身麻酔には怖いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、現代の麻酔は麻酔薬や麻酔器、モニター機器の進歩により非常に安全なものになりました。
しかし、全ての動物にとって完全に安全というわけではありません。
麻酔には一定のリスクが伴い、非常に少ないながらも合併症が発生する可能性もあります。
それでも麻酔をかけるのは、適切な診断を下し、適切な治療につなげるためです。
皆様の大切なご家族の一員であるワンちゃんや猫ちゃんに麻酔をかけることは心配かと思いますが、当院ではCT検査に限らず麻酔処置の前に入念な検査を行い、安全に麻酔をかけられる状態かをしっかりと判断します。
そして、いざ麻酔をかける際には万全の状態で処置を行いますのでご安心ください。
また、当院では正確な診断を行うために高いクオリティで撮影を行うことに尽力しています。
診断に必要な画像を撮影するために、ポジショニングや造影剤の投与量、撮影のタイミングなど様々なことを考慮して検査を実施しています。
動物を不動化させることはもちろん、これらの条件が少し違うだけで得られる画像が全く異なることがあり、病変を見落としたり誤診することにもつながる恐れがあります。
当院の画像診断科では日々高いクオリティで検査を行い、適切な診断を下せるよう努めています。
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