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総合診療科

ワンちゃんの発達ステージを理解しましょう

こんにちは、獣医師の遠藤です。

最近子犬さんをよく見かけるので、今回はワンちゃんの発達ステージについてお話ししたいと思います。

ワンちゃんの発達ステージは大きく6つに分かれます。

それぞれ出生前期、新生子期、移行期、社会化期、若年期、成熟期〜高齢期と呼びます。

どの時期もワンちゃんにとって大事な時期であり、一番長く一緒に過ごすご家族の皆様に十分に理解していただくことで、双方にとって快適で豊かな生活が送れると思います。

・出生前期

文字通り誕生前の時期です。

・新生子期

生後2週間くらいまでの時期です。

体の機能が非常に未熟で、排泄も自分で行えません。

まだ視覚や聴覚は未発達ですが、触覚や体温感覚、味覚、嗅覚はわずかながら備わっており、ちょっとした刺激に反応できます。

こうした時期でも、適度なハンドリングによりその後のストレス抵抗性や情緒的安定性、学習能力などが改善されることが報告されています。

・移行期

生後2週間から3週間までの時期です。

視覚・聴覚が発達してきて、兄弟犬と戯れあったりうなったり尾を振ったりと、社会的行動シグナルも表現し始める時期です。また、排泄も自力で可能となります。

・社会化期

生後3週間から12週間くらいまでの時期を指しますが、犬種や個体差があります。

社会化とは、ワンちゃんが生活していく上で適切な社会性を身につけていくことであり、とても重要な時期です。またこの時期に完全に離乳します(7~10週齢)。

社会化期の初期は、まだ見知らぬ対象や新たな環境に接しても、警戒心より好奇心が上回ります。この時期に多くの動物や人や物、環境に触れ、恐くないことを教えてあげることで、成長してからの恐怖反応を予防することができます(恐怖期という一時的に外部刺激に怖がる時期がこの後2度ほど到来しますが、それはまたの機会に )...。

この期間に経験しなかった事象に今後初めて遭遇すると、子犬のレパートリーにない新奇なものとして警戒や恐怖の対象となります。また、社会化期から次の若年期にかけて、犬同士の遊びは正常な行動発達に重要な役割を持ち、遊びを通して身体能力を磨いたり、犬特有のボディーランゲージや社会的な相互関係のルールを学びます。この時期に他のワンちゃんと触れ合わないと、人とはうまく接することができるけど、変な話、犬とコミュニケーションが取れないワンちゃんになってしまいます。人に例えるならば、狼に育てられた狼少年/狼少女です。

それでは、この時期に多くの動物や人や物、環境に触れることの重要性は理解したが、まだ初年度のワクチンネーションプログラムがなされていないのに他のワンちゃんと触れ合ったり散歩に行っていいのかといった点が疑問としてあがるのではないかと思います。この問題を解決してくれるのが「パピークラス」です。パピークラスとは、子犬の幼稚園であり、同じ状況下の元気な子犬さんたちが集まるので感染症に罹患するリスクも低く、安心して通えます。パピークラスの良い点として、しつけを学べるだけでなく、他の子犬さんやその飼い主さんとも触れ合え、一石二鳥どころか一石何鳥にもなります。是非活用してみてください。

・若年期

離乳から性成熟に到るまでの時期です。

性成熟とは、動物の生殖機能が十分に備わった状態に達することを指し、ワンちゃんでは個体差はあるものの、大体の子が8~12ヶ月齢で性成熟に到ります。

若年期も社会化期同様に、多くの動物や人や物、環境に触れさせてあげることが重要です。この時期に外部刺激の適切な反復がないと、社会化期に社会化した対象に再び恐怖心を抱くようになってしまいます(後戻り現象)。

また、反抗期に突入する時期でもあり、残念な事にこの時期に保健所へ連れて行かれることが多いようです。ご家族の皆様は、犬にも人間同様に反抗期があり、一時的にトレーニングが難しくなる時期があることを理解してあげましょう。

・成熟期〜高齢期

犬が性成熟を迎えてから高齢期そして天国へ旅立つまでの期間です。

事実、歳を重ねれば重ねるほど病気にかかる可能性は人間同様に上昇します。症状が出てからでは手のつけようがなく残念ながら手遅れとなってしまう場合もあります。

早期発見・早期治療を目指し、少なくとも年に1回は健康診断をしましょう。

 

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