画像診断科
先天性門脈体循環シャント
こんにちは、獣医師の杉野です。
今回は先天性門脈体循環シャントという病気について簡単にご説明したいと思います。
動物の体の中には栄養分や毒素を肝臓へと運ぶ門脈という血管があります。
動物たちの中には、この門脈が先天的に全身の静脈とバイパスされてしまっている子がいます。
この異常のことを門脈体循環シャントと言います。
シャントがあると、本来肝臓へ行って代謝・分解されるはずだった栄養分や毒素がそのまま全身に回ってしまうことが問題になります。
これにより、初期には嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が出ることが多く、進行してくるとふらつきや発作などの神経症状がみられることもあります。
診断は、血液検査やレントゲン、超音波検査、CT検査などで行います。
↓は門脈体循環シャントの症例のCT画像から3D構築した画像です。
門脈体循環シャントだと分かったら、手術を行い、その異常な血管を縛ることで治療することができます。
手術以外の治療法は点滴や低蛋白食などの対症療法に限定され、残念ながらそれらで完全に治ることはありません。
仔犬なのに食が細い、成長が遅い、食後にぐったりしてしまうなどといった症状があったら、門脈体循環シャントのサインかもしれません。
もしこういった症状がみられましたら、早めに病院で検査することをおすすめします。
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