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消化器・泌尿器科

猫さんの水分摂取量について

皆様、こんにちは。

2021年3月から当院の消化器・泌尿器科を担当させていただくことになりました庄山俊宏(しょうやまとしひろ)と申します。

今回は猫さんの水分摂取量について触れていきたいと思います。

一般的に生物は年齢をかさねるにごとに腎臓の機能が徐々に低下します。

特に猫さんは人間やわんちゃんと比較して飲水量が少なく腎臓の機能が低下しやすい傾向にあります。

腎臓病の予防や治療(悪化を防ぐ事)として、水分摂取量を増やす事は非常に大事なことです。

しかし、人間であれば「水を頑張って飲んで下さい」と言えるのですが、動物の場合水をすすめても飲んでくれない事がほとんどだと思います。

今回は、そんな水を中々飲んでくれない猫さんの水分摂取量を増やす方法をいくつかご紹介したいと思います。

大きく分けて2通りあり、食事中の水分量を増やす方法と飲水量を増加させる方法があります。

 

食事中の水分量の増加方法

  1. ゴハンに水やお湯を入れるドライフードに水あるいはお湯を10-20cc足す方法です。器に入れたご飯が浸るよりやや少なめが目安です。ただし、水分を加えると食べない子もいます。その場合は無理せずに少量の水から始めるか、違う方法を試した方がいいかもしれません。

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  1. ウェットフードをあげる
    ウェットフードとは缶詰やパウチ、チュールなどの水分含有量が多い食事の総称です。この食事は匂いや嗜好性も良いため好んで食べてくれる子が多いです。ウェットフード単独であげてもいいですし、カリカリに混ぜてもいいと思います。また、おやつとしてあげるのも一つですが、パウチやチュールはあげすぎには注意が必要です。

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飲水量を増やす工夫

動物にとって水を飲む環境というのは非常に大事な事です。飲水環境を変化させる事で飲水量を増加させる事ができる可能性があります。

  1. 水の温度
    猫さんは冷水よりぬるま湯を比較的好みます。
  1. 水の種類
    水道水を好む場合やカルキ抜きの水が好きな子もいます。ミネラル水も良いですが、硬水はミネラル成分(カルシウムなど)が多く尿石症になりやすいので、軟水をあげるようにして下さい。
  1. 器の種類
    光の反射が原因でステンレス製の器を嫌がる子もいます。陶器やプラスチック性の器を好む子もいますので色々試してみましょう。また、止まっている水ではなく流水が好きな子もおり、近年は循環式の自動給水機も販売されていますのでうまく活用してみるのも一つです。
  1. 器の場所
    猫さんは静かで薄暗い場所(リビングから離れた2階の寝室や脱衣所など)でゆっくり飲みたい子が多いです。
  1. 器の数
    猫さんの頭数(グループ数)+1個以上が理想です。2頭いるなら3個以上です。
  1. スポイトなどで飲ます
    目的の量を入れられますが、嫌がる子が多いです。嫌がらなければいいですが、無理はしない方が良いでしょう。

 

今回ご紹介した水分摂取量を増やす方法は、腎臓病や尿路結石の治療で有効とされています。

また、健康な子でも腎臓病や結石の予防として実施していただいても問題ないです。

ちなみに僕の家で生活している2頭の猫さんはお湯をかけたご飯をよく食べてくれていますが、この方法では食べない子も多くいます。

皆様も無理ない範囲で色々と試してみていただけると良いと思います。

また、水分摂取量を増加させるいい方法が他に何かありましたら是非教えていただければと思います。

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